まだとらぬ早苗の葉ずゑなびくなりすだくかはづ の声のひびきに(風雅和歌集)
今よりは皐月(さつき)来ぬとやいそぐらむ山田の早苗とらぬ日ぞなき(風雅和歌集)
をしなべてしげる野沢の夏草にしめ引き分けて早苗とるなり(新拾遺和歌集)
早苗とる山田の田子(たご)のあさ衣(ごろも)いとど皐月の雨もぬれつつ(夫木抄)
ぬれつつも早苗とるかな五月雨に田子のもすそも朽ちぬばかりに(文保百首)
暮れぬとてちまちの早苗とりどりにいそぐもしるき田子のもろごゑ(玉葉和歌集)
ゆたかなる千町(ちまち)の早苗けふいく日(か)とる手ひまなくなほいそぐらむ(延文百首)
日数(ひかず)のみふるのわさ田の五月雨に干さぬ袖にも取る早苗かな(新後拾遺和歌集)