あはれ我なにごこちせむわが背子が降るとも雨にぬれて来たらば(宝治百首)
かきくらし降りくる雨も君ならば濡るとてさらにいとはざらまし(六百番歌合)
ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨降りしきしくしく思ほゆ(万葉集)
いとどなほ晴れぬ思ひぞまさりけるひと待つ宵の雨のけしきを(宝治百首)
雨やまぬ軒の玉みづかずしらず恋しきことのまさるころかな(後撰和歌集)
雨ふれば軒のしづくのかずかずに思いひみだれて晴るるまぞなき(水無瀬恋十五首歌合)
かきくもり雨ふる川のさざら波まなくも人の恋ひらるるかな(拾遺和歌集)
よるの雨の音にたぐへる君なれや降りしまされば我恋ひまさる(玉葉和歌集)
つれづれのながめにまさる涙河そでのみひちて逢ふよしもなみ(古今和歌集)
雨なみだ身を知り顔にふりそへて恋のま袖は干すかたもなし(宝治百首)
雨も知れ軒に音するたまみづのあはとなりても消えぬおもひを(草根集)