monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

花橘(はなたちばな)

2010年05月27日 | 日本古典文学-和歌-夏

五月雨のそらなつかしくにほふかな花橘に風や吹くらむ(後拾遺和歌集)

たちばなのかをり涼しく風たちて軒ばに晴るる夕ぐれの雨(風雅和歌集)

わがやどの花たちばなや匂ふらむ山ほととぎす過ぎがてに鳴く(風雅和歌集)

風かをる花たちばなに時鳥こゑなつかしき夕まぐれかな(正治二年初度百首)

五月闇はなたちばなのありかをば風のつてにぞ空に知りける(金葉和歌集)

さつき待つ花たちばなの香をかげばむかしの人の袖の香ぞする(古今和歌集)

ももしきの庭のたちばな思ひいでてさらに昔をしのぶ袖かな(土御門院御集)

折(をり)しもあれ花たちばなのかをるかな昔を見つる夢の枕に(千載和歌集)

たちばなのにほふあたりのうたた寝に夢もむかしの袖の香ぞする(新古今和歌集)

かへりこぬむかしを今と思ひ寝の夢の枕ににほふたちばな(新古今和歌集)

たちばなの花散る里のほととぎす片恋(かたこひ)しつつ鳴く日しぞ多き(万葉集)

風に散る花たちばなを袖に受けて君が御跡(みあと)と偲びつるかも(万葉集)