禊すとあさきり捨てし程もなく今朝は夜寒に風吹きにけり(和泉式部続集)
御祓(みそぎ)せし昨日の瀬々の川波に秋立つ風や今日わたるらむ(玉葉和歌集)
秋立つと聞きつるからにわがやどの荻の葉風の吹きかはるらむ(千載和歌集)
秋来(き)ぬと袖にしらせて吹きそむる荻の上葉の風ぞ身にしむ(草庵集百首和歌)
にはかにも風のすずしくなりぬるか秋立つ日とはむべも云ひけり(後撰和歌集)
秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(古今和歌集)
昨日(きのふ)にも照る日の影はかはらぬにけふを秋とは風の告(つ)ぐらむ(沙玉集)
浅茅生(あさぢふ)の小野のしの原風そよぎ人知るらめや秋立ちぬとも(新続古今和歌集)
おのづから秋は来(き)にけり山里のくずはひかかる真木のふせ屋に(金葉和歌集)
浅茅原たままく葛の裏かぜのうらがなしかる秋は来にけり(後拾遺和歌集)
あききぬと聞くより袖に露ぞ置くことしもなかば過ぎぬと思へば(長秋詠藻)