手もたゆくならす扇のおきどころ忘るばかりに秋風ぞ吹く(相模集)
うつりゆく日かずならでも知られけり秋とおぼゆる風のけしきは(嘉元百首)
ささがにの手引きの糸もたゆむらむ草の露ふく秋の夕かぜ(内裏百番歌合)
秋の来てかぜ吹きたらばささがにのくものすがきの荒れまくも惜し(宝治百首)
穂にいでてなびく尾花のかたよりにゆくかたしるき野べの秋風(嘉元百首)
庭の面にゆふべの風は吹きみちてたかきすすきの末ぞみだるる(風雅和歌集)
いとどしくなぐさめがたき夕暮れにあきとおぼゆる風ぞ吹くなる(後拾遺和歌集)
秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ(詞花和歌集)
露の身のおきどころこそなかりけれ野にも山にも秋風ぞ吹く(新後撰和歌集)
秋はただものをこそ思へ露かかる荻のうへ吹く風につけても(新古今和歌集)
きみ待つと我が恋ひ居ればわが宿のすだれうごかし秋の風ふく(万葉集)
秋風の身にさむければつれもなき人をぞたのむ暮るる夜ごとに(古今和歌集)
思ふひと袖ににもせめてふれもせよ恋ひあまる日の暮れの秋風(伏見院百首)
(2009年8月31日に掲載した「秋風」の記事は削除しました。)