冬月 寂西
今はとて嵐吹きそふ神無月さむく夜ことに月そさえ行く
(宝治百首~日文研HPより)
立田川もみちのひまに猶みれは紅(くれなゐ)くくる冬のよの月
(宗尊親王百五十番歌合~日文研HPより)
中納言為藤、神無月の比、北白河にまかりて人々十首歌よませ侍ける時、河上冬月 前大納言実教
はやき瀬はこほりもやらて冬のよの河音たかく月そ更行
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
面影もかはりはてぬる冬の野に秋みしままの月そ残れる
(正和三年・詩歌合~日文研HPより)
月照寒草 西行法師
はなにをく露にやとりし影よりも枯野の月は哀なりけり
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
あきもかくみにしむいろはみさりしよかれののしもにこほるよのつき
(沙玉集~日文研HPより)
月枯れたる草を照す
こほりしく沼の芦原かぜさえて月もひかりぞさびしかりける
(山家和歌集~バージニア大学HPより)
いつころの月かすくれてはおほゆると人のとひしに十月はかりの風うちふき時雨つゝ隈なしとみれと曇りかちなるこそ見すてゝいりかたき心ちすれと申にそよ我もしかなむおほゆるといふに
思ひますはれみはれすみ半なる月を哀と君もみけれは
(二条大皇太后宮大弐集~群書類従15)
初冬月
冬とてやしつくも空につもるらんしくれにこほる夕月夜かな
(草根集~日文研HPより)
かなしさのたくひもあらしかみなつきねぬよのつきのありあけのかけ
(拾遺愚草~日文研HPより)