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古典の季節表現 春 二月上卯日 大原野祭

2021年02月11日 | 日本古典文学-春

きさらきやけふ神まつる小鹽山はやかけそへよ花のしらゆふ
(年中行事歌合~群書類従6)

 大原野祭の日、さかきにさして女の許につかはすとて 伊尹 
おほはらの神もしるらむわかこひはけふ氏人の心やらなむ
 返し 読人不知
さか木はの春さす枝のあまたあれはとかむる神もあらしとそおもふ
(拾遺和歌集~日文研HPより)

《卷三仁寿元年(八五一)二月乙卯【十二】》○乙卯。別制大原野祭儀。一准梅宮祭。
(日本文徳天皇實録~「増補 六国史 8』朝日新聞社、昭和15年)

《卷二十一貞觀十四年(八七二)二月三日癸卯》○二月辛丑朔三日癸卯。大原野祭如常。使等不歌舞。
《卷四十九仁和二年(八八六)二月五日乙卯》五日乙卯。大原野祭如常是日。辰時、日上有冠、左右成珥。
(日本三代實録~「増補 六国史 9』朝日新聞社、昭和15年)

(寛弘二年二月)一日、己卯。
一日中、雨が降った。例年のように大原野祭に神馬使を出立させた。(略)
(御堂関白記〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)

(寛元四年二月)七日丁卯。大原野祭也。辰時同社釜吠。其声遥聞云々。今日釈奠也。権中納言公光卿参入。依当大原野祭。上卿無庿拝云々。(略)
(百錬抄~「新訂増補 国史大系11」)

十二日、大原野祭なり。雨うちそゝぎ霞めるに、まだ見ぬ里とめづらしく見ゆれば、桂川などいふ所も過ぎて、「西山とこそ申せ。」といふ。 
こころぼそくつねに慕ひてながめせしこれや日の入る西の山本
宮にまゐり著きぬれば、辨、上卿つきて事ども行ふ。几帳さして、御前にまゐりて見れば、四所(よつどころ)の御戸(みと)ひらきて、西の御帳に、太刀を横ざまにすぢかへたるやうにつけて、扉の脇に矛立てたり。日暮るれば、いとめづらかに尊(たふと)し。果てぬれば歸るに、雨も時々猶そゝぐものから、夕日のかげに、影もすこし見えつるに、又ありつる桂川にもなりぬ。鵜舟も二三あり。橋の下行くやうにて、さしとゞめたるに、綱手引くやうに、人二人ばかり綱を引きてさきにあり。車の通れば、綱を水に沈めて、 
かつら川くだす鵜舟の綱手なはしづむるはてよ如何になりなむ
(中務内侍日記~岩波・新日本古典文学大系)