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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

袖に墨/袖の墨

2016年07月08日 | 日本古典文学-人事

 「袖に墨が付く」ということを歌った和歌が複数あるので、どういうことを歌っているのか語釈を調べてみました。
 人から恋されるときには、袖に墨がつくという言い伝えから、「袖に墨が付く」のは、人に恋い慕われたしるし。 もしくは、人に恋い慕われる前兆。とのことです。
 このことを詠み込んだ和歌などを集めてみました。

かにかくに-ひとはいふとも-おりつかむ-わかはたものの-しろあさころも(新撰和歌六帖・1298)日文研HPより

からくにの-ひとにとははや-わかことく-よにすみつかぬ-たくひあるやと(永久百首・631)日文研HPより
イからくにの-ひとにとひてや-わかことく-よにすみつかぬ-たくひあるやと(永久百首・631)日文研HPより

ひとにのみ-すみつくそてを-かさねつつ-こふるしるしも-きみはしらしな(久安百首・待賢門院堀河・1077)日文研HPより

 袖にすみのつきたるを人のたれかこふるならむなととふらひけれはいひける 左大臣家郷
なからへて有はつましき世中になにとすみつくわか身成らん
(巻第百五十八・今撰和歌集、雑)
『群書類従・第十輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、431ページ

修理大夫顕季の六條の家にて七夕をよめる
七夕はひまなく袖につくすみをけふやあふせに薄すつらん
(巻第二百五十四・散木奇歌集、第三・秋部・七月)
『群書類従・第十五輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1987年、17ページ
※『新編国歌大観 3巻』では、同一歌が「七夕はひまなく袖につくす身をけふやあふせにすすぎすつらん」と表記されていますが、「袖に尽くす身」では意味がとおらないと思います。

たなはたの-そてにひまなく-つくすみは-あふせにけふや-あらひすつらむ(夫木抄・4042)日文研HPより

人に恋ひらるる人は袖に墨つく、又こひすれば額の髪しじくともよめり、古歌に、わぎもこが額の髪やしじくらん怪しく袖に墨のつくかな。〔奥儀抄・四〕(Weblio 辞書 より)

われゆゑと-しらすやあらむ-しつのめか-つつれるそてに-つけるすみをは(頼政集・恋・555)日文研HPより

つつむそて-たかこふるとは-もらさすと-つくらむすみを-あはれともみよ(千五百番歌合・2281)日文研HPより

 桂の家にて人々歌よみしに、人に恋ひらるといふ心を
偲(しの)ばれむことぞともなき水茎のたびたび袖に墨のつくかな
(師中納言俊忠集~「和歌文学大系22」明治書院)

 初逢恋を申せしに  衲叟
袖につく墨のしるしをいつよりかあやしめおきてさねそめぬらん
(雲玉集・358~『新編国歌大鑑8』586ページ)

われをのみ-たのまさりけり-わきもこか-ひとかたならぬ-そてのすみかな(新撰和歌六帖・1618)日文研HPより

[詞書] 霞隔遠樹
たちのこす霞の袖につく墨はたかため恋の杜となるらん(草根集・00369)日文研HPより

[詞書] 遠帰雁
棹姫のかすみの袖につく墨のおつるやこゆる春の雁かね(草根集・01635)日文研HPより

[詞書] 野深雪
あさ明の末のの雪につく墨はたか夕暮の袖はらふらん(草根集・06026)日文研HPより

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1 コメント

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Unknown (mono)
2021-02-25 19:52:23
雲玉集を追加し、カテゴリを変更しました。
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