「のりのあめ(法の雨)」「みのりのあめ(御法の雨)」:仏法が衆生をあまねく教化して恵みを与えるのを、雨にたとえていう語。法雨(ほうう)。
(法花経の心をよみし)
薬草喩品
法の雨は草木もわかて注け共をのかした社うけまさりけれ
(巻第二百七十七・赤染衛門集)
『群書類従・第十五輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1987年、676ページ
法師品
のりの雨にみながら清めつくしてはさはりの外をなにかたづねむ
(公任集)
『公任集全釈』風間書房、1989年、247ページ
院の帝と今の帝とおはしましける時
日の光かさねて照れは紫のほしもふたつに色やなるらん
よそにきく袂のみ社そほちけれあまねく法の雨はそゝける
返し
いつはらす心をよする法の雨のそゝくしるしにぬるゝ袖哉
(巻第二百七十三・伊勢集下)
『群書類従・第十五輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1987年、558ページ
紫式部ためとて結縁経供養し侍ける所に、薬草喩品を送り侍とて 権大納言宗家
法の雨に我もやぬれんむつましきわかむらさきの草のゆかりに
(新勅撰和歌・釈教歌)~国文学研究資料館HPより
後白川院かくれさせ給て又の年、法花堂にまいりて聞法年久といふことをよみける 祝部宛仲
法の雨ありしむかしにかはらねは千とせふるともたえしとそ思
(続拾遺和歌集・釈教歌)~国文学研究資料館HPより
源家長朝臣、すゝめ侍ける一品経の歌中に、序品 前大納言為家
またしらぬ空の光に降花は御法の雨のはしめ也けり
(続後拾遺和歌集・釈教歌)~国文学研究資料館HPより
薬草喩品の心を 法成寺入道前関白太政大臣
法の雨はあまねくそゝく物なれとうるふ草木はをのかしなしな
(風雅和歌集・釈教歌)~国文学研究資料館HPより
山寺雨
法の雨ふらぬ日もなきしるしにや笠を置きけん峰の山寺
(草根集)~日文研HPより
有難や妙なる法の教には、値事稀なる優曇華の、花待得たる芭蕉葉の、御法の雨も豊かなる、露の恵みを受くる身の、人衣の姿御覧ぜよ。
(謡曲「芭蕉」)
『岩波・新日本古典文学大系57』209p
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