わたつうみの涙のあわとうく袖やよるべもしらぬ海人の捨舟
(内裏百番歌合_建保四年~「新編国歌大観5」)
よるへなき-ひとのこころの-あらいそに-おもひくたくる-あまのすてふね
(延文百首_尊胤~日文研HPより)
こひすてふ-わかみはあまの-すてふねよ-うきぬしつみぬ-ものおもふころ
(沙玉集~日文研HPより)
にこりえの-こひちにわれは-しつみつつ-こきすてられし-あまのすてふね
(安嘉門院四条五百首_阿仏~日文研HPより)
寄舟恋
いつまてとたか捨舟の浅き江に朽ちぬうらみを猶残すらん
(草根集~日文研HPより)
あふことは-なきさによする-すてふねの-うらみなからに-くちやはてなむ
(延文百首_公清~日文研HPより)
ふるかはに-かたふきをれる-すてふねの-うかふかたなく-くちやはてなむ
(新撰和歌六帖_信実~日文研HPより)
宝治二年百首歌に、浦船 常盤井入道前太政大臣
さそはるゝ/波のゆきゝに/年もへぬ/あまのなかせる/浦の捨舟
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
いかにせむ-かせしくなみの-しまかくれ-よにすてふねの-よるへなきみは
(文保百首_覚助~日文研HPより)
うきみよに-たちこそめくれ-すてふねの-ひくひともなしと-なにうらみけむ
(白河殿七百首~日文研HPより)
題しらす藤原頼景
夕塩の/さすにまかせて/湊江の/あしまにうかふ/あまのすて舟
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
(たいしらす) 津守国夏
みこもりの/古江の浪に/朽はてゝ/しほたにさゝぬ/あまの捨舟
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
月前舟
浦ち行く月をのせしは昔にてわれて洲にゐる浜の捨舟
(草根集~日文研HPより)
救濟法師
ふりぬるやかたに秋もしられず
主もなき浦の捨舟月のせて
(菟玖波集~バージニア大学HPより)
今は心もみたれ髪のいふにもあまる恋草はつむともつきぬ七車の又めくりあふ事もやといたらぬくまもなくまとひありきてもとむれとひとりこかるゝすて舟のさほさしていつことをしゆるよすかもなけれはむなしく立かへりけるか
(鳥部山物語~バージニア大学HPより)
まほならぬ-あしまかくれの-すてをふね-こかれわふとも-ひとはしらしな
(沙玉集~日文研HPより)
うき世を物にたとふれば、岸の額(ひたひ)の根無草(ねなしぐさ)、入江の水に捨て小舟(をぶね)、波にひかれて行方(ゆくゑ)なく、(略)
(横笛草紙~岩波文庫「御伽草子・下」)
大納言殿泪を押へて宣けるは、「我身かく引人もなき捨小舟の如く、深罪に沈みぬるに付ても、たゞならぬ御事とやらん承りしかば、(略)
(太平記・十三「北山殿謀叛事」~WIKISOURCEより)
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