monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 春 帰雁

2013年03月02日 | 日本古典文学-春

霞中帰雁といへる事をよめる 藤原成通朝臣
声せすはいかてしらまし春霞へたつる空にかへるかりかね
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

前関白〈一条〉家に百首歌よみ侍けるに、帰雁幽 右近中将経家
朝ほらけ霞のひまの山のはをほのかに帰る春のかり金
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

花ざくら咲くを見すててかりがねの雲ぢにかへる声ぞきこゆる
(二条太皇太后宮大弐集)

暗き空の帰る雁
花をこそ思ひもすてめ有明の月をも待たでかへるかりがね
(建礼門院右京大夫集~岩波文庫)

かりのこゑをきゝて、こしへまかりける人を思てよめる 凡河内躬恒
春くれは雁かへるなり白雪の(イ白雲の)みちゆきふりにことやつてまし
(古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

土佐の国室生(むろふ)といふ所に住むころ、帰る雁を聞きて 相撲の修理のすけ
かりがねに言(こと)や告げまし君が住む都も同じ方とこそ聞け
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

帰雁の雲井の余所に一声二声(ふたこゑ)音信(おとづるる)を聞給(たまひ)ても、故郷へ言伝せまほしくおぼしけり。
(源平盛衰記~バージニア大学HPより)

帰雁をよめる 大弐三位
かへる雁我が玉づさをことづてむうはの空なる使なりとも
(大弐三位集補遺・雲葉集~岩波文庫「紫式部集」)

帰雁の心をよみ侍ける 祝部宿祢成仲
帰る雁いく雲ゐともしらねとも心はかりをたくへてそやる
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

 霞晴れわたりて、入り日の影の長閑(のどか)なるに、打ち寄する波も、紅のやうに見わたさるるに、雁の横折れて行くらん名残をさへ、<悲し>と、思す。
 ゆく雁よ我をもさそへ音(ね)になきて秋よりなれし同じ汀に
(松陰中納言~「中世王朝物語全集16」笠間書院)

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1 コメント

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Unknown (mono)
2018-03-09 22:20:05
建礼門院右京大夫集と風葉和歌集と大弐三位集補遺と松陰中納言を追加しました。
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