monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

ほととぎす(郭公/時鳥)

2010年05月08日 | 日本古典文学-和歌-夏

初声(はつこゑ)の聞かまほしさにほととぎす夜ぶかく目をもさましつるかな(拾遺和歌集)

山ちかく家ゐしをればほととぎす鳴く初こゑを我のみぞ聞く(金槐和歌集)

夏山の木末(こぬれ)の繁(しげ)にほととぎす鳴きとよむなるこゑのはるけさ(万葉集)

こゑはして雲ぢにむせぶ時鳥なみだやそそく宵の村雨(新古今和歌集)

五月雨の雲のたえ間に月さえて山ほととぎす空に鳴くなり(金葉和歌集)

ほととぎす一声(ひとこゑ)にこそ五月雨のよはあはれとも思ひそめしか(中務集)

五月雨にものおもひ居(を)ればほととぎす夜ぶかく鳴きていづちゆくらむ(古今和歌集)

五月闇くらぶの山のほととぎすほのかなる音(ね)に似るものぞなき(拾遺愚草)

明星(あかぼし)のかげをともにて山の端(は)を夜ぶかくいづる時鳥かな(為忠家後度百首)

小夜ふけてあかとき月にかげ見えて鳴くほととぎす聞けばなつかし(万葉集)

夜もすがらかたらひおきて時鳥いづち行くらむ明けぼのの空(正治二年初度百首)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

早苗(さなへ)

2010年05月07日 | 日本古典文学-和歌-夏

まだとらぬ早苗の葉ずゑなびくなりすだくかはづ の声のひびきに(風雅和歌集)

今よりは皐月(さつき)来ぬとやいそぐらむ山田の早苗とらぬ日ぞなき(風雅和歌集)

をしなべてしげる野沢の夏草にしめ引き分けて早苗とるなり(新拾遺和歌集)

早苗とる山田の田子(たご)のあさ衣(ごろも)いとど皐月の雨もぬれつつ(夫木抄)

ぬれつつも早苗とるかな五月雨に田子のもすそも朽ちぬばかりに(文保百首)

暮れぬとてちまちの早苗とりどりにいそぐもしるき田子のもろごゑ(玉葉和歌集)

ゆたかなる千町(ちまち)の早苗けふいく日(か)とる手ひまなくなほいそぐらむ(延文百首)

日数(ひかず)のみふるのわさ田の五月雨に干さぬ袖にも取る早苗かな(新後拾遺和歌集)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あやめ草

2010年05月06日 | 日本古典文学-和歌-夏

水(み)がくれて生(お)ふる五月(さつき)のあやめぐさ香(か)をたづねてや人の引くらむ(古今和歌六帖)

みがくれて生ふる五月のあやめ草ながきためしに人は引かなむ(続古今和歌集)

深き江(え)に今日あらはるるあやめぐさ年の緒(を)ながきためしにぞ引く(新勅撰和歌集)

あやめ草ながきちぎりを根にそへて千代のさつきといはふ今日かな(新続古今和歌集)

君が代のながきためしにあやめぐさ千尋にあまる根をぞ引きつる(風葉和歌集)
.

思ひつつ岩垣沼に袖ぬれて引けるあやめのねのみなかるる(風葉和歌集)

今日さへや引く人もなきみがくれに生(お)ふるあやめのねのみなかれん(風葉和歌集)

知らざりき袖のみぬれてあやめ草かかるこひぢに生(お)ひんものとは(金葉和歌集)

あやめ草かけしたもとのねをたえて更にこひぢにまどふころかな(後拾遺和歌集)

ながき根をかくるに知りぬあやめ草わが身のうきに生(お)ふるものとは(風葉和歌集)

思ひつついはがき沼のあやめぐさ水(み)こもりながら朽ちやはてなむ(狭衣物語)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平通盛を花にたとえると

2010年05月06日 | 日本古典文学

 「平家花ぞろへ」より、平通盛を花(?)にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」角川書店)

 これこそ又、きやしやなる人にてものしたまへ、見目(みめ)などよく、ねたげなるもてなし・けはひ、猶やごとなき人にてあらせたきけしきし給へる。
 五月五日のあさぼらけ、五月雨すこしをやみて、軒のしづ くばかりときどきおとづるるほど、いたくながき根の葉もあをやかなるに、さうぶがさねの薄様の文(ふみ)つけてさしおきたるここちす。
 袖ふるる人やおほかるなべて世にけふのあやめのねをたよりにて

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平重衡を花にたとえると

2010年05月05日 | 日本古典文学

 「平家花ぞろへ」より、平重衡を花にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」角川書店)
 重衡は、千手の前との恋話が好き。

 我から、世のおぼえ、ことに思ひのままにうちほこり、入道殿にも又二位殿にもおぼえの子にてものし給へる。
 あかぬことなきを、ことさら人のため思ひやり深く、こころざま懐かしくなさけしくもてなし、見目(みめ)も例の一もとゆかりにや、いとよくて、うち笑ひたまへるなどこそ、ことに見まくほしけれ。
 ぼたんの花の、におひおほく咲きみだれたる、朝ぼらけに初ほととぎすの一こゑおとづれたるほどとや聞こえむ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする