庭草にむらさめ降りてひぐらしの鳴くこゑきけば秋は来にけり(拾遺和歌集)
秋風の草葉そよぎて吹くなへにほのかにしつるひぐらしの声(後撰和歌集)
ひぐらしの声きく山のちかけれや鳴きつるなへに入り日さすらむ(後撰和歌集)
夕かげに来鳴(きな)くひぐらしここだくも日ごとに聞けど飽かぬ声かも(万葉集)
ひぐらしの鳴く山里の夕ぐれは風よりほかにとふ人もなし(古今和歌集)
ひぐらしの声ばかりする柴のとは入り日のさすにまかせてぞ見る(金葉和歌集)
村雨のすぎぬる空の山かげにあはれそふなりひぐらしの声(建仁三年影供歌合)