monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

木下利玄「山遊び」

2017年10月25日 | 読書日記

 足守川にかゝつて居る葵橋を渡る頃は秋晴の太陽が豐年の田圃に暗く照つて居た。八幡樣の山では松の木立の下に雜木がほのかに黄ばんで櫨の木の紅葉の深紅なのが一本美しく日に透いて居るのが長閑に見えた。河原には、未だ枯れぬ秋の草が野菊交り、色の褪せた死人花交りに未だ青く殘つて居て、親馬についた子馬が其の草を食つて居た。澄んだ細い流れは、日を受けてその間に光つて居た。
(青空文庫より)


「ちんころ」とは

2017年10月22日 | 着物/和服

 「ちんころ」とは日本髪で前髪をふくらませて結ったところに留める髪飾りのこと。細い紐でできているものが多く、小さい子供が前髪のところから絞りの紐状のものを垂らしている、アレです。後ろの髷(まげ)にかける手絡(てがら)とお揃いだとカワイイ。
 最近、ある着物屋さんの小物コーナーで「ちんころ」らしきものを発見しました。絞りの生地をバイヤスに裁って30cmほどの長さの細い紐状に縫う。芯は無し。


鼻緒ずれ対策

2017年10月17日 | 着物/和服

 履き物によっては、鼻緒ずれになって水ぶくれが出来てしまったり、皮がむけて血が出てしまうことがあるのですが、平野恵理子の「着物でお出かけ十二ヶ月」(技術評論社)に、対策法が載っていました。
 鼻緒があたるところに予めワセリンクリームを塗っておくとよい、とのことです。


古典の季節表現 冬 初冬の月

2017年10月15日 | 日本古典文学-冬

冬月 寂西
今はとて嵐吹きそふ神無月さむく夜ことに月そさえ行く
(宝治百首~日文研HPより)

立田川もみちのひまに猶みれは紅(くれなゐ)くくる冬のよの月
(宗尊親王百五十番歌合~日文研HPより)

中納言為藤、神無月の比、北白河にまかりて人々十首歌よませ侍ける時、河上冬月 前大納言実教 
はやき瀬はこほりもやらて冬のよの河音たかく月そ更行 
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

面影もかはりはてぬる冬の野に秋みしままの月そ残れる
(正和三年・詩歌合~日文研HPより)

月照寒草 西行法師 
はなにをく露にやとりし影よりも枯野の月は哀なりけり 
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

あきもかくみにしむいろはみさりしよかれののしもにこほるよのつき
(沙玉集~日文研HPより)

月枯れたる草を照す
こほりしく沼の芦原かぜさえて月もひかりぞさびしかりける
(山家和歌集~バージニア大学HPより)

 いつころの月かすくれてはおほゆると人のとひしに十月はかりの風うちふき時雨つゝ隈なしとみれと曇りかちなるこそ見すてゝいりかたき心ちすれと申にそよ我もしかなむおほゆるといふに
 思ひますはれみはれすみ半なる月を哀と君もみけれは
(二条大皇太后宮大弐集~群書類従15)

初冬月
冬とてやしつくも空につもるらんしくれにこほる夕月夜かな
(草根集~日文研HPより)

かなしさのたくひもあらしかみなつきねぬよのつきのありあけのかけ
(拾遺愚草~日文研HPより)


「にほてる」用例

2017年10月14日 | 日本国語大辞典-な行

 「にほてる(におてる)」という動詞は日本国語大辞典では、語義未詳とされており、『月清集』(1204年頃)からの例を早い用例として挙げていますが、少々さかのぼる用例があります。また、この語は、和歌によく用いられるとのことですが、散文用例も見つけました。

辛崎やにほてる沖に雲消て月の氷に秋かせそふく
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、藤原良経、秋)
『続群書14下』580ページ

今宵の月もおもしろきに、にほてる影も見がてら
(しら露・下)
『中世王朝物語全集10』笠間書院、1999年、240ページ