ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

産後ケア事業を使わなかった理由

2019-03-04 13:56:09 | Private・雑感
「産後うつ」という言葉とともに、「産後ケア」という言葉がだいぶメジャーになってきたと思う。産後の体のダメージや心のもろさは誰にでもあるもので、この時期に心身の負担を軽くすることは、その後の母親や赤ちゃん、子育てをうまく乗り切るのに大切だ、ということ。産後ケアの中身としては、出産による退院の後に、医療機関や助産院、その他産後ケア施設で数日過ごしたり、退院後家に訪問してもらい、家事や育児を手伝ってもらったりという形があるようだ。最近は自治体が補助をして、低価格でこれらのサービスを使うことができる地域も多い。

第三子の出産となる私も、産後の育児が不安で、特に上の子たちと赤子が同じ部屋で寝るのに、上の子たちが私を振り回してヘトヘトにさせないかが心配で、少しでも退院を先延ばしできるのならありがたいと思っていた。うちは、とにかく狭いのだ。とくに保育園のない週末は、わちゃわちゃしていて大変。赤子を守った上で精神的に穏やかで身体的にもゆっくり過ごす…ことができそうにない。

調べてみると、伊勢市にも産後ケア事業として、補助してくれる制度があった。入院施設で、三食付きの入院延長(医療管理はない)を一日三千円でできるという。いいじゃん!と思ったのもつかの間。利用できる基準が厳しかった。
要は、「本当に育児に不安が強く手伝ってくれる人もいない」人しか使えない。本当に不安を抱いているのか、手伝ってくれる人がいないのか、審査される。

私の場合、第三子なので上の子たちの世話を含めて不安は大きく、当初は実家の母も(いろいろあって)車の免許が失効する可能性が高いタイミングで、手伝ってくれるとしても上の子たちの保育園の送迎はできなさそう。そもそも実家は関東で遠く、家が狭いために長く滞在して家事をしてもらうのも現実的ではない、と思っていたから、条件には当てはまるだろうと思っていた。

そうはいっても、「審査される」というのは精神的にキツイものだ、とよくわかった。本当に私は大変なのか?サービスがないとやっていけないのか?自問自答すると、「できなくはないと思うけど…」と考えてしまう。
産休に入るころに市の担当課に行った時、「出産したら教えてください、病室に伺って利用できるかどうか確認させてもらうことになります」と言われた。それは利用できないかもしれない、必要性について市が判断する、ってことですよね?利用意欲がさーっと引いていったのを覚えている。私くらいの困り具合では駄目なんだ。妊娠後期でナーバスだったのもあると思うけど、他人にそう思われているような気がして悲しかった。

この審査というものが、ない自治体も多い。利用後に補助を請求し、上限までの額を払ってもらうとか。三重県の近隣自治体でも、審査がなさそうなところはあった。それだったら、もっと積極的に利用検討していたと思う。

結果的に、出産翌日に、夫から市役所に電話するのはやめてもらった。体力の回復が早そうな感じはしたし、このクリニックが母子分離が原則だったり、授乳時間が決まっていたりして、決まりごとが煩わしく感じたことも大きい。廊下の足音や回診を知らせる院内放送など、ゆっくり休めない要素もある。実際、帰ってこられて良かったと思っている。

それでもやはり、「審査」の影響は大きい。審査があると聞いて悲しかった気持ち、行政の人にはわかってほしい。

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