年始からセミナーなどで折に触れ今年の選挙など政治動向も取りあげてきた。いくつかある関心事のひとつが中国のトップ交代。先月は次のトップと目されている習近平副主席の米国訪問が話題となったが、この人は共産党高級幹部の子弟の集団をさす「太子党」のリーダー格で知られる。元々、中国共産党の幹部はその子弟の教育を外に求め、米中国交回復以降は米国に留学させる例も多かったとされる。実際に習近平の娘さんもハーバード在学中とか。ビジネス上も米国に人脈は豊富で、ブッシュ政権時代の財務長官で中国通で知られたヘンリー・ポールソンとも懇意とされている。米国としては、とかくコミュニケーションが取り難いと評判だった胡錦濤主席から習近平への移行は歓迎と米系メディアは伝えていた。
米中関係が、蜜月を迎えるのか反目するのか、来年以降の世界の流れに影響する。もちろん米国の大統領が誰になるのかでも、変わるので変数は多いわけだ。
いずれにしても、中国のトップ交代は関心を持って見ているのだが、本日の重慶市の「薄熙来党委員会書記の解任」というニュースは、このところ同氏を取り巻く最近の動きを興味深く追っていた身にとって、かつて中国や旧ソ連時代の権力闘争を彷彿とさせる出来事だった。権力闘争のもう一つの当事者は、胡錦濤主席をトップにいただく共産主義青年団(共青団)と呼ばれる目立ったコネのない中で党組織の中で力をつけ伸し上がった一団。いわば党の中で実力で上がった人々で頭脳明晰な人物が多いとされる。
年始あたりから、太子党の実力者で同じ太子党の習近平副主席に近いとされる薄熙来重慶市党委員会書記による、毛沢東時代を思わせる保守的な情宣活動への警戒感は高まっていると伝えられていた。同書記はこの秋の次期指導部の中枢に入る人物と目されていることから、共青団サイドからのプレッシャーが高まっていたのだろう。
そういう状況の中で本日は日経朝刊で温家宝首相が、保守派を牽制する発言をしたと報じられていて、やや唐突な動きに「おや??」という感じだったのだが、批判の対象が誰であるかは明らかだった。驚いたのは、今日はそのまま大きな動きがあったこと。まさに速攻で薄熙来失脚という感じ。それにしても、わずか(?)8000万人の共産党員が全体で13億人の国民を統治するというのも、選挙をやっていないだけに、どこかで無理がきそうに見える。現体制で明らかなのは、ここまでの改革開放路線は変えてはならじ、という強い意志ということか。中国政府のプロ・ゴールド的な金に対するスタンスも変わらないと見られる。
その時、尖閣問題は日中間で勝手に決めろとか、尖閣は中国領土だとか、クリントンが話したら、平和ボケ日本人はどう反応したのでしょうか。
日米同盟がなくなり、米中同盟が成立すれば、中国に日本の領土を完全侵略されるでしょう。