混沌とするギリシャ情勢を横目に値を上げるどころか値下り局面すら見える金市場。30日火曜日に英国のオックスフォード大学でのアフリカ諸国の中央銀行の会合に出席した際のフィッシャーFRB副議長の強気発言が市場の方向性を支配したように見える。
伝えられたところでは、米経済は4-6月期におそらく年率2.5%程度の成長に回復したとした上で、労働市場は完全雇用に近づいているとした。こうした環境の中で、インフレ率が目標の2%に向かうとの自信が深まるとしたとされる。利上げについては、「目標達成まで政策調整を待つべきではない」とし、金融政策運営で先手を打つ必要があると指摘したとされる。
おそらく直近の米国関連の指標の好調さを受けたものと思われるが、ギリシャ問題を無視させるほどに金市場のセンチメントを萎えさせることになったと思われる。
そして迎えた(独立記念日の関係で発表が1日繰り上がった)本日の6月の雇用統計。金市場は発表を前にし、先行して売り込まれ3月19日以来となる1160ドル割れを見ることになった。ところが発表された結果は、悪くはないが4、5月分の雇用者数の下方修正を含め、先行して金を売り込むほどの強さは見られなかった。否、むしろ民間部門の平均時給は24.95ドルと、前月比横ばいになるなど、インフレ圧力は高まっていないことを示し、 失業率の低下にもつながっている、労働参加率は62.6%で、1977年以来の低水準となっていることが判明。いまだ弱さが残る労働市場の現状を示すことになった。
つまりフィッシャー副議長の話を前面に立て、雇用統計の改善の持続を先に織り込みに掛った売り方の動きは、実際の結果から跳ね返されることになった。まだら模様の米回復事情。