亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

民主主義発祥の地が・・・・

2012年05月08日 21時26分57秒 | 国際情勢
さてギリシャの政権樹立難航で「リスク‐オフ」ムードがさらに高まってきた。伝えられているように、選挙で第1党となった新民主主義党(ND)は連立政権樹立交渉に失敗し断念。この場合、憲法の規定では第2党に躍進した、急進左派連合(SYRIZA)が連立協議を行なうことになる。それも不調に終わると次は第3党が協議を行うが、それでも政権を樹立できない場合は、数週間以内(おそらく6月)に再選挙が実施されることになる。

独特の風貌でTVでも目立った前のベニゼロス財務相が党首となっている全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は第3党だが、選挙を戦うにあたり、当事者としてEU、IMF、ECBのいわゆるトロイカとの間で取り決めた救済条件を緩める方針を示したようで、これは選挙を機に勝手にルールを変えたことになる。トロイカ側が受け入れるかは未知数。

その前にそもそも政権ができないとトロイカも交渉の相手がいない。次の選挙そして政権樹立までの空白期間に、何かをきっかけに市場が動揺したり、またギリシャ政府の資金繰りの問題も浮上するとの見方もある。いずれにしても想定された中での悪い方向に事態は進んでいるのは間違いなかろう。

しかし、ギリシャのユーロ圏離脱などということが、ギリシャ国民にとって独自通貨で為替安が享受できて浮上の機会を得られるというのは机の上の話であって、そこまで至るまでが大混乱でギリシャ国民は益々追い込まれることになりそうだ。本日午後に、あるフリーライター氏と話したが、一人頭のポルシェ保有率が一番高いのがギリシャだそうで、自動車ローンだけで日本円で8400億円というデータがあるのだと。貸す方も貸す方なのだ・・。言うまでもなくユーロ建てなので、ドラクマ復活となると借金は膨れ上がることになる。新政権が借金を踏み倒してユーロ圏を離脱したところで、すぐに楽になるわけではなく金融機関はもたないだろう。その飛び火をEUは恐れるので、勝手にしなさいとは言えないところが悩ましい。欧州では、またまた会合、会合、会合ということか。ギリシャは大きな償還は3月に通過済みではあるが、支援側の決断の時が迫りそうだ。

足元の金市場は、ロンドン入り前から売られている。しかし、まだ先週の安値水準を割ってはいない。この一連の流れの中で、下げ予想が大勢を占めているが、それゆえに、ここからの展開は見もの。

それにしても昨年の秋に「民主主義のコスト」ということで書いたことがあるが、民主主義発祥の地がポピュリズムの果てに、そのコストのあおりで実質崩壊というのも皮肉ではある。


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