前週末の2つの米労働市場のデータを挟んで1900ドル割れに至ったNY金。報じられたように5月の非農業部門雇用者数(NFP)は前月比55万9000人と67万人増の予想を下回った。雇用の拡大基調が続いていることは確認されたものの、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を急ぐほどの内容ではないとみなされ、米長期金利が低下。一時は3週間ぶりの高値を付けていたドル指数(DXY)も結果を受けて90.03まで低下し、この2つの条件で金市場では自動的に買戻しの動きが活発化した。
現地午前8時半の発表直後から金は20ドル以上水準を切り上げたものの、前日に下切った節目の価格1900ドルを突破することはできなかった。
前日は民間雇用事務サービスADPの全米雇用調査にて雇用者増加数が前月比97万8000人増と予想の65万人増を大きく上振れたことで、労働省発表のNFPの上振れを連想させた。こうなるとテーパリング(量的緩和策の段階的縮小)観測が頭をもたげた。折しもFRBが手持ちの一般社債を(当初の役割は終了したとして)、年内に売却する旨の発表を行ったこともあり、“テーパリングの検討” は6月15~16日のFOMC(連邦公開市場委員会)にて論議されるだろうということになった。40ドル近い下げで、1870ドル台まで売り戻された。
この一連の流れの中で4日発表の労働省のNFPは、予想67万人増に対し100万人程度まで行くのではないかと市場は身構えた。しかし、結果は55万9000人増ということに。つまりADPのデータが連想させた“上振れ”は回避されることになった。
それでも1900ドル台奪還がならないNY金。ひとつの理由は、ここにきて新規資金の流入が止まっていることがある。
内部要因から見て1900ドル超へのNY金押し上げの原動力になったのが、ショートカバー(売り建ての買戻し)だった。毎週末のCFTC(米商品先物取引委員会)によると、5月25日に至る1週間にNY先物取引のショートは重量換算(オプション取引除く)で55トンもの減少となった。同じ期間にロング(買い建て)は6トン減少しているので、こちらは1900ドル超に至る過程で益出しをしていたということだろう。ちなみに類似する5月21日までの1週間で金ETF(上場投資信託)の残高は世界全体で21トンの増加にとどまっている。うちNYが中心の北米は17.4トンを占めている。いずれにしても、1900ドル大台突破に至るドライバー(原動力)は、新規資金の流入(フレッシュロングの拡大)ではなく、ショートカバー(売り建ての手じまい)が主導したということ。形としては「踏み上げ相場」といえるもの。
意味するのは、新規資金の流入が乏しいことで、1900ドル台の維持には新たな買いの手掛かりが必要とみられる。
市場は10日(木)発表の5月の消費者物価指数(CPI)に焦点を当てている。
現地午前8時半の発表直後から金は20ドル以上水準を切り上げたものの、前日に下切った節目の価格1900ドルを突破することはできなかった。
前日は民間雇用事務サービスADPの全米雇用調査にて雇用者増加数が前月比97万8000人増と予想の65万人増を大きく上振れたことで、労働省発表のNFPの上振れを連想させた。こうなるとテーパリング(量的緩和策の段階的縮小)観測が頭をもたげた。折しもFRBが手持ちの一般社債を(当初の役割は終了したとして)、年内に売却する旨の発表を行ったこともあり、“テーパリングの検討” は6月15~16日のFOMC(連邦公開市場委員会)にて論議されるだろうということになった。40ドル近い下げで、1870ドル台まで売り戻された。
この一連の流れの中で4日発表の労働省のNFPは、予想67万人増に対し100万人程度まで行くのではないかと市場は身構えた。しかし、結果は55万9000人増ということに。つまりADPのデータが連想させた“上振れ”は回避されることになった。
それでも1900ドル台奪還がならないNY金。ひとつの理由は、ここにきて新規資金の流入が止まっていることがある。
内部要因から見て1900ドル超へのNY金押し上げの原動力になったのが、ショートカバー(売り建ての買戻し)だった。毎週末のCFTC(米商品先物取引委員会)によると、5月25日に至る1週間にNY先物取引のショートは重量換算(オプション取引除く)で55トンもの減少となった。同じ期間にロング(買い建て)は6トン減少しているので、こちらは1900ドル超に至る過程で益出しをしていたということだろう。ちなみに類似する5月21日までの1週間で金ETF(上場投資信託)の残高は世界全体で21トンの増加にとどまっている。うちNYが中心の北米は17.4トンを占めている。いずれにしても、1900ドル大台突破に至るドライバー(原動力)は、新規資金の流入(フレッシュロングの拡大)ではなく、ショートカバー(売り建ての手じまい)が主導したということ。形としては「踏み上げ相場」といえるもの。
意味するのは、新規資金の流入が乏しいことで、1900ドル台の維持には新たな買いの手掛かりが必要とみられる。
市場は10日(木)発表の5月の消費者物価指数(CPI)に焦点を当てている。