亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

8月21日に公開されるFOMC議事要旨が節目のイベントに

2019年08月01日 23時25分55秒 | 金市場
FOMCは、大方の予想通り政策金利は25bp(0.25%)引き下げられ、2.00~2.25%となった。利下げは2008年12月以来のこと。利下げと同時に、(市場からの資金回収を意味するバランスシートの縮小を8月1日付けで終了することも決定した。従来の計画では9月末の終了を予定していており2カ月前倒しされることになった。利下げしながらも、バランスシートの縮小を続けること(アクセルを踏みながら同時にブレーキを掛ける)の不整合な状態を回避したとみられる。

声明文に表された内容は、予想通りのものでサプライズはなかった。市場の関心は政策の方向性、とくに今回の利下げが一過性のものなのか持続性のある政策転換なのかに集まっていた。というのも、7月以降に発表された米経済指標に好調なものが目立ったことと、このところのFRB高官の発言に「予防的な利下げ」という表現が急浮上していたことがある。

この点でパウエル議長の記者会見が注目された。ポイントはパウエル議長が「長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と利下げサイクルへの転換を否定したことだった。同議長は今回の利下げは“mid-cycle adjustment”(景気循環半ばでの調整)であるとし、景気後退に対応した継続的な利下げ局面入りを想定していないと明確に否定したこと。年内後1回あるいは2回の利下げまで前のめりに織り込んでいた市場では、タカ派的な内容と受け止められ、議長会見が進む中で株は売られ米国株主要3指数ともに1%を超える大きな下げとなった。NYダウは一時443ドル安まで見て前日比333ドル安の26864ドルで終了した。

ドルも買われドル指数(DXY)は一時98.68ポイントと約2年ぶりの高値に上昇。金市場でもややまとまった売りが出て前日比で約15ドル安い1410ドル前後での推移となった。金の下げが比較的小さなものに収まったは、昨日触れたように株安というリスクオフ環境の高まりと、上海で行われていた高官レベルの米中通商交渉に実質的な進展が見られなかったことがあったと思われた。また、パウエル議長は「一度きりの利下げだとは言っていない」と今後の利下げに含みを残したこともある。いったい、どっちなんだとスタンスを疑う発言ではある。

経験則からは、FOMC決定後の2日目、つまり本日8月1日の価格動向が注目される。金は下値はどこまで売られるかがポイント。

ちなみに今回の利下げに対し、ジョージ・カンザスシティー地区連銀総裁とローゼングレン・ボストン地区連銀総裁が反対票を投じたこともタカ派的印象を強めた。景気拡大が継続し、失業率が約50年ぶりの低水準にある中での利下げは必要なしと反対票を投じたとされる。一般的には全会一致がFOMCの姿であり、複数名の反対は意見の割れが大きいことを表す。

結局今回のFOMCについては、3週間後の8月21日に公開される議事要旨が注目を集めることになりそうだ。どの程度の反対意見があり、利下げの継続への賛同者はどの程度いたのかが明らかになる。それまで、主要経済指標の結果に市場は揺れることになる。

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