亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

膨れ上がるイラク戦費

2006年12月07日 15時28分52秒 | 国際情勢
ゲーツ新国防長官のスピード承認につづきベーカー元国務長官を中心とする「イラク研究グループ」の提言が今日はメディアの中心的関心事になっている。米軍戦死者の増加が止まらずイラクに軍を駐留させておく意義自体に疑問を投げ掛け始めた米国内世論に配慮しながらイラクの軟着陸を図ろうというプランには、そもそも明確な“解”はないわけで、よりよい方向を探るという結果に。ただし明示的に日程を決める必要性もあり戦闘部隊の撤収を2008年3月を目標にするとした。戦闘部隊を引き上げて残りの部隊はイラク軍や警察の訓練や後方支援に回るというのだが、それまでにイラク軍がしっかりとした組織になる必要があるわけで、イラク軍や警察自体が宗派で内側が割れていると伝えられているので「机上のプラン」という側面はどうみても否めない。これといった打開策はないが手をこまぬいているわけにもいかず、というのが現実。結局米軍内部が検討しているとみられるプランの方が現実に則しているであろうから、その辺りも出てから総合的に判断ということか。それも長官が変わったいま、軍関係のトップも変わると思われるので急を要するということ。まさに泥沼状態になってきた。

ところで当方は以前から「イラク戦の誤算は米国財政の誤算」ということで、米国財政面から事態の推移を見ているのだが、さすがに話題になり始めた。本日の日経も取り上げていたが、累計ですでに4千億ドルを投じ、このまま行くと実質ベースでベトナム戦の戦費を越える見通しという。ここ数年毎会計年度、暫定予算を組んで半年走り、1月から2月始めに掛けて補正予算を組むというやり方で戦費の総額が決められているのだが、昨年度の補正予算は確か700億ドルだったと記憶している。報道による今年度はなんと対テロ戦費という項目を含め1000~1200億ドルの補正の規模になり総額で2000億ドルに膨らむ可能性もありと知って驚いた。ベビーブーマー世代の退職で社会保障関連費の出費が膨らむと見られるなか、戦費の垂れ流し自体を無視できなくなるときがいよいよやってくる。

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