さてFOMCだが、直前の大方の予想通りQE3は見送られた。金利水準を据え置き、月末で終了する「オペレーション・ツイストの年末までの延長ということになった(総額2670億ドル)。期間と金額はともかくとして、延長は市場のお予想通りでサプライズはなかった。金市場の反応は、下げだったが声明文発表前に見切り売り的な“投げ”が見られ、当の声明文発表でむしろ反転し値を戻すという展開だった。3月以降の急落した局面と同じパターンを予想した動きが事前に出たが、当時のような値動きにはならず、むしろ事後的にじわじわと売りが出ている状況。
FOMCは指摘されているように4月に比べ景気見通しの下方修正が目立った。緩やか、穏やかのレベルが上がり、より“緩やかに”、より“穏やか”にという内容だった。つまりこの状態はダラダラと低成長が続きますよ、しかしサポートを外すとこの限りではアリマセン。したがって年末に一連の減税策など一斉に打ち切る(「財政の壁」)などトンデモナイデスということ。
結局、足元の対応策としては、現時点では市場には大きな失望を与えないという観点から十分と思われるものを打ち出し、切り札は温存ということ。いまやスペインにまで飛び火した流動的なユーロ圏情勢については、それ自体はよその話なので他力本願で来週のEUサミットの合意事項などどれほどのことが出来るのか“経過観察” ということだろう。対応が市場の不安心理を抑えられないときは、米国景気への悪影響を考えイエレン副議長が先日言ってたように予防的措置を講じるということか。
過去数ヵ月のバーナンキ議長の反応として印象的なのは、雇用統計の結果に対するものだが、春先の好調時には浮かれたメディアや市場の論調に乗らず、締めすぎた反動として楽観はしていなかった。逆に4、5月と低迷が目立ってきた今は、悲観に組みせず季節要因や暖冬先食いの反動と冷静に対応という感じに見える。それでも、さすがに7月6日に発表される6月のデータが芳しくなければスタンスを変えるのではないか。昨夜発表された声明文でも記者会見でも雇用の回復には時間が掛かるとはしているが。いずれにしても。むげにドルをばら撒くことはしないが、必要あらばやる覚悟はできているんだということ。景気以前に、流動性危機は絶対阻止で緊急避難的対応を取ると(この部分は昨夜の記者会見にはなかったが)。
話題は変わるが、インドルピー安でインドの国内金価格は3万ルピー(10グラム)を超え、過去最高値を更新してきた。対ドルで1ルピー値下がりすると550ルピーの国内価格の値上がりになるとのことで、今後1ドル58ルピーくらいまで売られそうなので為替要因から3万1000~3万1500ルピーくらいまでの値上がりが期待できるのだそうな。しかし思えば、2009年の1-3月期に1万5000ルピーを初めて超えたというので、需要がガタ減りになっていたのだが。足元は当時より需要は多い。しかし3割くらい減っている。その減っている分を中国が増えているのでならせば実需は昨年比そう減っていない。しかし、市場はインドが減ったことを悪材料視し、悪いといっている。7月中旬以降に驚くことになるのではないか。
明日の夕刻はラジオNikkei生です。
高速取引禁止に出来ないもんですかね 10年前は一日10ドル動いたら驚いたもんでしたが