Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

さて、コーヒーの話だが・・・・・

2007年06月08日 | 
 先週、古書展で買った小室等のエッセイ『さて、コーヒーの話だが・・・・・』(旺文社文庫)を読み始める。実は大学時代に読んだ本であるが、東京の実家をいくら探しても見あたらない。沖縄に持ってきたのか、来ないのか・・・。しかし案外、内容を記憶しているもので、たぶん以前と同じ場所で笑っている気がする。
 この本は全編コーヒーの話であるが、実際は全く無関係な内容で始まり、最後の最後に「さて、コーヒーの話だが・・・・・。」で始まって、たいてい6,7行でエッセイを終えてしまう。ようするにコーヒーの話はほとんど蛇足のように見えるのだが、それが結構おもしろい。一つ一つのエッセイを読んだ後に、最後のコーヒーの話にくるとその香りがうっすらと漂うのである。
 私は小室等の歌が好きである。中学生の時《雨が空から降れば》を聞いてから、ほぼ30年の月日が経っているのだが、今なお彼の作品の素朴なメロディーや歌詞に魅了され続けている。たまにNHK BSで放映される小室等の登場するフォーク番組は今もほとんど録画しているし、極めつけは、2004年に岩波新書で出版された彼の『人生を肯定するもの、それが音楽』などは大学の音楽学の講義で購読させてしまったほどである。
 さて、コーヒーの話だが・・・・・。
 最近、子どもが「お父さん、ぼく京都に行ってみたいよ。」というのである。そうか、とうとうわが子も日本の歴史、京の雅の世界に興味を持ったのか、と感心し「どこに行きたい?」とたずねたのだった。すると彼は微笑みながらこう答えたのだった。
 「イノダコーヒー。だって高田渡が《コーヒー・ブルース》で歌っているでしょう。『三条へ行かなくちゃ、三条堺町のイノダってコーヒー屋へね』って。三条って京都にあるってお父さん言ってたよね。」
 小学生の子どもには高田渡よりも、まずは「健全」なバッハかモーツァルトあたりを聞かすべきだったと今になって反省しきりである。