Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

日曜日、夕刻の市場にて

2007年06月10日 | 那覇、沖縄
 日曜日の夕方が近づいてくると少しずつ息苦しくなってくる。明日という日が近づいてくることへの恐れから・・・。そうなるともう家で何をしていても集中できなくなる。残された道はただ一つ、それは「現実逃避」。
 私がそんな時に選ぶ場所は、バリを最も感じられる場所、それは那覇の市場周辺である。特に日曜日の夕刻は最適だ。店屋はほとんど閉まってしまって、もの寂しさがたまらない。バリ島の私の住んでいたタバナンの街の夕刻の市場は、いつもこんな雰囲気だった。朝の市場も好きだが、誰もいなくなる夕方の市場も大好きである。
 人がいない市場だからこそ、早朝の市場の喧騒や空気が自由に想像できる。ぼんやりと立ち止まってそんなことを考えているうちに、大勢の女性の買物客が籠を頭にのせて足早に私のそばを通り過ぎていく。脇にはブルーシートにゴーヤやパパイヤなどの野菜を広げたオバアが黙って私を見つめる。道端には籠に入った、供物につかう色とりどりの花が並べられる・・・。そこは沖縄とバリがごちゃ混ぜになった想像の空間。
 確かに私は現実逃避を試み、空想に耽るためにここに来ている。しかしそれだけではない。ここに来ることで私は自分を見つめなおすことができる。私にはバリの音楽があり、バリの音楽をとりまくたくさんの友人たちがいる。そんな当たり前なことに気づかされる。そうして明日におびえる自分の愚かさにも気づかされる。だから日曜日の夕刻、私は時々、人気のない静かな市場へと向かう。