Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

浅草演芸ホールの前で

2007年12月02日 | 東京
 浅草六区でちょうど演芸ホールの前を通り過ぎたときのこと、なにやら大きな声が聞こえる。
「はい皆さん、ここが有名な浅草演芸ホールです。記念撮影をしますので早く並んでください。道を通る方の邪魔になりますから急いでください。」
 その声につられて、演芸ホールの前に立ち止まる。あっという間に観光客が記念撮影の形に並んでいく。並ばせる方も手馴れたものである。
 そうか、寄席に来たわけじゃなくて写真を撮るだけなんだ・・・と思うと少し寂しい。だいたい現在は改装中でブルーシートがかけられているのに写真撮影か。なんだか「マニュアル通り」に進行する団体旅行だ。演芸場、ようするに寄席は入らないと雰囲気が想像できない。ホールというと西洋的な音楽ホールを想像するが、全く違うのである。歌舞伎座だって、入るとその雰囲気に圧倒される。国立劇場でみる歌舞伎と、歌舞伎座で見る歌舞伎は、私の中では同じ演目でも大違いなのだ。
 私にとって寄席は、浅草よりも池袋である。私の高校時代の池袋演芸場は、今よりずっとレトロで古めかしい雰囲気だったが、そんな会場が大のお気に入りだった。そんなことを思い出しながらふと我にかえって浅草演芸ホールを見てみると、もう団体さんは誰一人見当たらない・・・。