Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

メニューから見えるもの

2007年12月13日 | 那覇、沖縄
 国際通りのちょうど真ん中あたり、テンプス(沖縄の言葉では「へそ」)というビル前の広場にこんなメニューが掲げられた不思議な看板が出ている。インドネシア通の者ならば誰もがこの間違いに気づくはずだ。ナシゴレンは、タイ風チャーハンではなく、インドネシア風チャーハンである。タイならば、カオ・パッとなる。もちろん、ナシ・ゴレンとカオ・パッは味付けが異なる。
 しかし興味深いのはその間違いだけではない。ナシ・ゴレンの下に書かれているのは、沖縄のタコライス、そして最後には、ハワイのロコモコが並んで書かれていることだ。タコ・ライスは沖縄のアメリカ統治時代に作られたご飯の上にタコスの具を乗せた食べ物である。それにしてもバラバラな地域の料理を並べたものか?これは無国籍料理屋なのか? いやいや、インドネシア、ハワイ、沖縄、日本本土の料理と並べられているならば、環太平洋料理屋だ!
 ここで重要なのは、これらが、沖縄の観光地のメッカ「国際通り」の中心地のレストランのメニューであることだ。このレストランへ沖縄に住む人が行くことはまず十中八九ない。要は、観光客のためのレストランなのである。と考えれば、観光客が食べたくなるようなメニューが掲げられていると考えるのが無難である。
 そうなのだ。これは観光客が沖縄で必要とする食べ物なのである。つまりは、沖縄はある種、汎アジア的なイメージ、そしてハワイのもつ南国イメージを付与されているからこそ、この食べ物がベストチョイスなのである。ようするにインドネシアもタイもハワイも、沖縄とだぶるわけだ。ナシ・ゴレンがタイ風であろうと、インドネシア風であろうとあまり意味がない。重要なのは、それが東南アジアであることだ。沖縄とは本当に不思議なイメージの島である。