Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ステーキハウス

2007年12月14日 | 那覇、沖縄
 沖縄の観光ガイドを見てみると、あいかわらずたくさんのステーキハウスが紹介されている。これらはすべてアメリカ統治下に築き上げられた沖縄のイメージであり、戦後は高級食の代名詞であった「ビフテキ」が、沖縄ではアメリカのように日常的に食べられるという幻想が作り出したものだ。1972年に日本に復帰してからすでに35年の月日がたっているにもかかわらず、今なお、この沖縄ステーキ幻想は変わらず存在し続けているのである。国際通りには「犬も歩けばステーキ屋に出会う」ほど、たくさんのステーキ屋が軒を連ねる。沖縄に赴任した当時、このステーキハウスの多さには驚愕したものである。
 土曜日に調査で学生達と国際通りを歩いていると、面白いステーキハウスの看板が目に入った。その名は「ステーキハウス ハワイ」、そしてその大看板のよこにはハワイを彷彿させるような女性の大きな写真が添えられている。しかしこの写真、よく見てみると、沖縄の女性のようにも見えるし、沖縄の海岸線に立つ高級リゾートホテルのロケ番組で、女性のレポーターが着ている沖縄風ムームーのような怪しさも醸し出されている。
 ふたたび、沖縄にくる観光客がこの看板から何を読み取るのかを考えてみる。ステーキは沖縄の代表的観光用料理である、という店からみれば、ステーキ屋の看板があることは特に際立ったものではないだろうが、問題は、その「ハワイ」という名前と、「女性の写真」である。この二つからは、沖縄のリゾート世界が見えてくる。国際通りは海から遠いが、やはり「沖縄=青い海=白い砂浜=照りつける太陽=夏のような暑さ」の図式が観光客の中に存在する。このハワイと名づけられたステーキハウスは、観光客の深層にある不思議な連鎖の図式を彷彿させるのだ。