Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

骨董屋

2007年12月18日 | 東京
 中古、リサイクル、骨董、オープンマーケット・・・こういう言葉が大好きである。とにかく新しいものより、古いものが私の性分に合う。大人になってからそうなったのではなく、たぶん子どもの頃からそういう性癖があったのだと思う。中学生の頃から神保町の店々に通いつめ、何よりもあの匂いやニコリともせず黙って本を眺める客や主人が好きだった。
 性癖であるとはいえ、これは父親から影響も大きい。父は特別に高価なものを買うわけではなかったが、それでも古物商があれば、何の躊躇もなく子どもを連れて店に入った。私はそんな店の雰囲気が嫌いではなかった。ただ父親が気に入ったものを見つけると、必死に値切るのには少々閉口した。しかしそれは子どものときの話で、そんな父を見ていたからか、インドネシアで生活するようになってから、私の「値切り」は誰に聞いても「相当な腕」であったらしい。父のおかげである。
 オランダに住んでいるときも、よく野外の骨董マーケットに出かけた。週2回、デン・ハーグで行われていたマーケットには用事がない限り、大学での仕事が終わると必ずでかけた。本屋もたくさん出ていたし、ガラクタなような物をひやかしで覗くのもまた楽しかった。
 先週の土曜日に国分寺で西洋の骨董屋を見つけて入った。「いらっしゃいませ」なんて誰も言わない。二人の店員は少し顔をあげただけで、ただ黙々と何かに向かっている。年代もののランプに電気がともされている。オランダにもこんな店がいくつもあったことを思い出す。10分くらいだろうか、さんざんいろいろ品物をながめて、もちろん何も買わずに店を出た。「ありがとうございました」なんて店員は言わない。きっと、わずかに顔を上げて私の後ろ姿を見送ったのだろう。それが私の好きな骨董屋の基本である。