花と緑を追いかけて

山を愛し、花を愛し、旅と
映画とパソコンと、好奇心も
いっぱいの主婦の日記です

東京都美術館「フェルメール展」

2008年11月21日 | 美術館&史跡巡り

この絵はヨハネス・フェルメール作の「真珠の耳飾りの少女」です。
「青いターバンの少女」とも呼ばれるこの作品は、単に美しいだけでなく謎めいた魅力を隠す絵画です。

暗闇の中で光を浴びてこちらを見つめる少女。
頭には高貴な青色ラピスラズリのターバン、耳には真珠の耳飾り。
つややかな唇が何か言いたそうに軽く開いていて・・・
この絵を見た者は、その無垢な眼差しにたじろいでしまうといいます。

友人のマルさんもその魅力に取り付かれた一人です。
「オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館でこの絵を見た瞬間動けなくなったのよ。周りには誰もいなくて私一人だけ、この少女を独り占めで楽しんできたわ」
と聞かされました。

私がこの絵を最初に知ったのは映画でした。
モデルになった少女の繊細な心の動きを通して、フェルメールを取り巻く当時の環境や生活ぶりが、光と影に彩られた、絵画のように美しい映像で描かれた映画でした。

一昨年、ようやくウィーンの「美術史美術館」でフェルメールの中期の傑作「絵画芸術」と言う作品と対面する事が出来ましたが・・・
この「真珠の耳飾の少女」はまだ見ていません。


そのフェルメールの作品を集めた「フェルメール展・光の天才画家とデルフトの巨匠たち」が上野の東京都美術館で開催されています。
残念ながら「真珠の耳飾の少女」は今回来ていませんが・・・
真冬並の寒さがやってきた今日20日に、幼馴染のtomokoさんを誘って行ってきました。


こちらの絵は、ポスターにも使われている「窓辺で手紙を書く夫人と召使」です。
フェルメールの絵に共通している左手斜めから射している光が、手紙を書く婦人にスポットライトのように照らされて印象的ですね。

「ヨハネス・フェルメール(1632~1675)は、オランダのハーグ近くのデルフトという小都市に生まれました。彼がその生涯で残した作品はわずか30数点。この作品の少なさと、光を紡ぐ独特の技法の美しさから、彼は光の天才と呼ばれています」(パンフレットより)

今回は7点が上野にやって来たわけですが、その内の5点は日本初公開だそうです。



光に満ちた美しい空間を描いた風俗画の傑作「ワイングラスを持つ娘」
ワインを勧めながらいい寄る男と、「あら~どうしましょう」といいたげな娘の表情が生き生きと描かれています。
当時お酒は「怠惰」の象徴でもありました。
窓辺のステンドガラスに描かれた「節制」の寓意像は戒めを現しているそうです。



近年になってフェルメールの作品と認定され話題になった「ヴァージナルの前に座る女」
1993年に行われた化学検査の結果、フェルメールの作品に間違いないことが分ったそうです。
唯一の個人コレクター所蔵の絵のようです。

今回はフェルメールのほかにも、レンブラントに天才と称され、フェルメールの師でもあるとの説のカレル・ファブリティリウスやデルフト特有の技法を確立させたピーテル・デ・ホーホなどの作品、約40点が展示されていました。



「フェルメールを初めとするデルフト派の絵は、大まかに言うと光と影と遠近法による騙し絵なのね」
見終わってから、tomokoさんとそんな話をしながら外に出ると、ナント!ナント!凄い人で長い行列が出来ていました。
「一時間待ちだって」

前の晩、友人のマルさんにTELした時
「私は2週間前に見に行ったけど、午後からだったせいか?混んで混んで気持ちが悪くなり三分の一も見ていないのよ。絵を目の前で見るなんてまず無理、naokoがちゃんと見てきたら褒めてあげるわ」
と言っていたけど・・・

「私たちアナタの助言を得て、朝の10時過ぎに行ったらスイスイと入れて、混んではいたけどちゃんとまん前で見ることが出来たわよ~、色々教えて戴きありがとう」
話題の美術鑑賞は体力が勝負ですね。
行かれるご予定のある方は、10時までに入館することをお勧めします。



上野公園の木々も紅葉が始まっていました。

2日前に「鎌倉の紅葉」を見てきました。
円覚寺を歩いたら汗ばむような陽気でしたが、木々の葉の赤、黄、緑のコラボレーションが綺麗でした。
今回はそれらをUPする予定でしたが・・・
芸術作品を見た後の興奮が冷めないうちにと変更しました。
昨日今日の冷え込みで鎌倉の山々もいっそう赤が増してくることでしょう。


<>

マウスオンでご覧下さい

東京と同じく横浜市の木も「銀杏」で・・・
我が家近辺もたくさんの銀杏並木が黄金色に色付いていますが、流石に歴史の古い上野公園の銀杏
巨木です
雲ひとつない青空に映えていました。



時計を見ると12時を過ぎていて、流石にお腹が空いてきました。
有楽町に出て、マルさんお勧めの「トラットリア・コルティブォーノ東京」というイタリアンレストランに行くことにします。

駅前の新しいビル「イトシア」の4Fにあるお店ですが、偶然にも2ヶ月前にプリンさんと文楽を見た日に行った中華レストランのすぐ上の階にありました。

外のデッキで食べるのも外国風でステキですが、冬のコートを着て出かけたほどの寒さだったので、誰も外でのお食事はしていませんでした。
このお店の本店は本場イタリアのシェナにあるようです。


<>

マウスオンで、お料理もご覧下さい

丸の内方面の眺めが良くて、お洒落な雰囲気のお店です
旧そごうデパート(ビッグカメラ)の向こうに見えているガラスの建物は東京国際フォーラムですね。

マルさんのお勧め料理は「トスカーナ風リゾット」だそうですが、残念ながらランチではやっていませんでした。
でもパスタも美味しかったですよ
これにコーヒーか紅茶が付いて1260円、お値段もリーズナブルで気に入りました。

tomokoさんと充分にお喋りを楽しんでから、さらに2件目の美術館に行きました。
ロビーから紅葉の綺麗な皇居が望めた「出光美術館」の紹介は、下に別途UPしてありますのでこのまま続けてご覧下さい
コメント (28)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

出光美術館・「陶磁の東西交流」展

2008年11月21日 | 美術館&史跡巡り
葛飾北斎の絵や浮世絵が、ゴッホやモネに影響を与えたお話は有名ですが・・・
日本の柿右衛門や古伊万里の陶磁器が、ドイツのマイセンやオランダのデルフト焼きにも一役買っている事はご存知でしょうか?
今、東京丸の内の「出光美術館」でこれらを並べて「陶磁器の東西交流」と銘打っての作品展が催されています。


「17~18世紀、華やかに開花した柿右衛門・古伊万里の日本の磁器芸術は、強い憧れを持ってヨーロッパの王侯・貴族に受け入れられ、その宮殿や生活文化を彩りました」(パンフレットより)


ヨーロッパの絵師たちは、日本の柿右衛門や古伊万里、そして中国の景徳鎮の模様などをトコトン模写することから学んだそうです。
写真右が江戸時代前期の柿右衛門「八角鉢」
写真左はドイツ18世紀のマイセン窯「八角鉢」
ソックリですね。

館内はすべてこのように対比して見られるように展示されています。
良く似ていながらもどこか違う面白味があるのが今回の催しです。
観音様がマリア様に見えたり、鼻の高い女性の顔に笑ってしまったり・・・
とても広げられそうもない「お扇子」も描かれていました

模写もそれぞれにお国柄が出るようで・・・
スペインやイタリアの陶磁器も日本や中国の影響を受けているのですが、こちらはこちらでラテン系の大らかさが感じられました



柿右衛門の赤は本当に美しいですね。
こちらは江戸前期の作品「色絵花鳥文八角共蓋壺」(重要文化財)



こちらは江戸中期の古伊万里の鉢ですが、絢爛豪華という言葉がピッタリです。
真ん中に描かれているのが「南蛮船」
東インド会社が、ヨーロッパの貴族達の柿右衛門や古伊万里の注文を斡旋し、運んだようです。

明治時代以降、日本は西洋に追いつけとばかりに頑張ってきましたが・・・
400年以上前には逆にヨーロッパの国々が先を争うかのように、日本や中国の文化を取り入れていたのです。
東洋の陶磁が憧憬の的だったのです。

一昨年に行ったブタペストでは「ヘレンド」のカップ&ソーサーを買った私。
スペインやイタリアでも絵皿を何枚も購入しました。
今度ドイツに行く機会があったら「憧れのマイセン」を買おう等とも思っていますが
「もっと自分の国の文化に誇りを持とう」と思わせてくれる展示内容でした。

それにしても最悪な画像のUPでお恥ずかしい限りです
日本の美術館はどこも撮影禁止
ヨーロッパの美術館は、フラッシュさえ焚かなければOKという所が多いのに



皇居前の帝劇ビルの9階にあるこの美術館は、眺めも素晴らしいのです
私はここのOGなので、こう綴ると宣伝みたいになりますが、何はともあれご覧下さい。
ガラス越しに写したのでピントがイマイチですが、正面には「桜田門」が見えています。



右手に目を移すと「武道館」方面が望めます。
ロビーにはお茶の設備も整っているので、友と二人で喉を潤しながら紅葉の綺麗な皇居の夕景に浸るのも良いものです。



桜田門の左手に見えている細長い建物は、TVのサスペンスドラマによく出てくるご存知「警視庁」・・・

そろそろ日が暮れてきました。
tomokoさん、今日一日美術館のハシゴに付きあって頂きありがとう。
今日は上野でも、ここ出光でも「オランダのデルフト」という地名に触れましたね。
叉声をかけますから一緒に出かけましょう。
やっぱり「都心」がご希望ですか?

尚、この回はコメント欄を閉じさせていただきます。
ご感想などは上の「フェルメール展」の方にお寄せ願います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする