社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

緩和医療の現場から-がんとともに生きる 東嶋和子(日本実業出版社 1997)

2008-05-09 07:19:26 | 社会福祉学
『第6章 あるソーシャルワーカーの物語』
 東札幌病院のソーシャルワーカー、田村里子さんを追ったレポート。事例を通して、その業務内容と専門性を紹介している。

・看護婦による痛みの評価、痛み緩和の専門医による薬物療法、ソーシャルワーカーによる社会的痛みに対するアプローチ。
・東札幌病院のMSW課→「コミュニティとの窓口」
・東札幌病院におけるソーシャルワーカー業務の柱→「積極的傾聴」
 引用「聴くことで支える、という面と、心理的、社会的な背景を理解し、状況に合わせて社会的な介入-利用できる制度の紹介や手続き、家族関係の調整など-をおこなう」
・田村氏が学生時代に実習をした緩和ケア病棟のソーシャルワーカー→チーム医療の一員ではなく、看護婦が問い合わせてきたときなどに部分的に活用されている


 いまや、東札幌病院のソーシャルワーカーはその地位が確立している印象を受けるが、その過程には『ソーシャルワーカーとしては何が考えられるか、どんな方策を立てられるか』を常に意識し、実践したきたことの積み重ねであると感じた。またグリーフワークも実践されていて、家族も含めた全人的なケアに重要な役割をはたしている。ここまでの地位を確立するまでには、他職種からの理解もあったであろうが、何よりも貪欲にその専門性を模索し、取り入れ、実践をしてきたからだと実感した。その前向きな姿勢をぜひ見習いたい!
 私が実践してきた在宅医療でのソーシャルワークは、田村氏が実習先で感じた「部分的に活用されている」ことに近いと感じた。
予定が組まれ、定期的に患者さん宅に行く医師や看護師と比べ、ソーシャルワーカーは「何かがないと訪問しにくい」と感じていた。でもそうではなく、「何かクリアにすべきものはないか」という姿勢が必要ではなかったか?と自問自答させられた。
コメント
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