社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

病院で死なないという選択 中山あゆみ(集英社新書 2005)

2008-05-18 18:23:40 | その他
「はじめに」 医師・川越厚氏への、在宅ホスピスケアについてのインタビューの記載

在宅ホスピスケアの概要を説明。主にメリットを列挙している。
・病院は治療を行う場であり、死に向かうための医療は行っていない。ホスピスは基本的には集団生活であるため、ある程度の「制限」は生じてしまう。自宅は、患者さんが主役であり、やりたいことの制限を強いられることはない。
引用「自分の家は、してはいけない、しなければならない、ということから一切解放された場所です」

・経済的な負担について、医療保険や介護保険で賄えることも多く、自宅は病院と違って個室代は発生しないし、家族が面会などのために使う交通費も発生しない。

・在宅の場合、家族の負担は多いのでは?
引用「薬の処方や医療的なことは、すべて医療者がやります。(中略)さらに看護師が訪問して体を拭いたり、健康チェックをしたりしますから、家族の方は、日々の食事の支度をしたり、ゆっくり食べられるように介助してあげたり、そばについてあげて、体をさすったり、トイレに行くのを手伝ってあげることなど、身の回りの世話をすればいいのです」


「在宅で看取る」ことの啓蒙としては、とても効果的なものだとは思うが、実際はそんなに甘くないのでは?とも感じた。
経済的な面について、家族は患者さんだけにお金を費やせる方ばかりではなく、「介護保険のサービスを使う」ことも厳しい方もいる。入院費と比較すると全体的には割安になるのかもしれないが…。
また家族によっては、「距離を置く」ほうが「穏やかに接することができる」という人もいるだろう。

病院などの機関を最期の場とするか、自宅を選ぶかは、本当にその人次第。
「こちらがいい。あちらがいい。」と医療者や施策が勧めるのは、本末転倒のような気もする…
コメント
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