きっと日本中いたるところ、夏野菜の最盛期だろう。
ここ伊達も同じだ。
だて観光物産館の野菜売場は、
旬の『伊達野菜』であふれている。
とうきび(トウモロコシ)も、
豊富に並びだした。
枝豆も出回った。
そして、この頃は万願寺唐辛子の美味しさに、
私ははまっている。
つい先日の朝だ。
ラジオ体操の帰り道、親しくさせて頂いているご近所さんから、
「トマトとピーマン、持って行かないかい?」
と、声がかかった。
案内されたのは、ご自宅の裏庭だ。
見事な家庭菜園だった。
その一角に、トマトやピーマンがいっぱい実をつけていた。
家内と2人、両手に抱えられない程、頂いてきた
早速、朝の食卓に。
トマトは、生野菜と一緒。
そして、ピーマンはそのまま丸焼きに。
まさに、もぎたて。
美味しくないはずがなかった。
そんな午後、玄関になじみの顔が、
「インゲン豆がいっぱいできたから、食べて。」
これまた、ありがたく頂き、夕食でゴマ和えにする。
どれもこれも「美味しいね」を連呼しながら、
暑さを忘れてほおばる。
夏やせどころか、夏太りを心配する有り様だ。
さて、歳を重ねるにつれ、「食」への関心が増している。
若い頃は、忙しさもあったのか、
お腹を満たせばそれでいいと思っていた向きがある。
しかし、今は違う。
朝食の食パン一切れにも、こだわりがある。
卵1個も同様で、卵なら何でもいい訳じゃなくなった。
だから、うまいと思うものを口にした時の満足感は大きい。
北海道で知った『うまいもん』を、2つ紹介する。
① 松尾ジンギスカン
今年、義父の13回忌を迎える。
その父が、元気だった頃からだ。
お盆の帰省で、実家がある芦別に行くと、
定番コースのように、昼食時に出向くところがあった。
そこは、車で片道30分、
滝川市内にある『松尾ジンギスカン本店』である。
今も、芦別で暮らす母を訪ねた折、
欠かさずにと言うくらいに、車をとばす。
この『松尾ジンギスカン』だが、
次第に有名になっているようで、
東京都内にも支店があると言う。
また、新千歳空港内にもその看板がある。
さて、ジンギスカンについてだが、
その食べ方には2通りある。
よく知られているのは、羊肉を焼いてから、
ジンギスカンのたれをつけて食べるものだ。
もう1つは、長時間たれに漬け込んだ羊肉を
焼いて食べるものだ。
これは、たれにつけたりせずに、そのまま食べる。
『松尾ジンギスカン』はこのタイプである。
店独自の秘伝だれに漬け込んであり、
肉の柔らかさもあるが、その味がいい。
ジンギスカン鍋で一緒に熱を通し、
そのたれが浸み込んだもやしやタマネギが、これまたうまい。
よく蟹を食べる時は、みんな無言になると言う。
それと変わらない。
父が一緒だった時も、
そして今、母と家内、私の3人でも、
食べている間、会話はほどんどない。
肉も野菜もご飯も味噌汁も、
全てがなくなってから、
「美味しかったね。」
と、口をそろえるのが常なのだ。
今年も、お盆が近い。
芦別への墓参を予定している。
また、あのジンギスカンが楽しみになってきた。
つけ加えるが、
「本店の味は、支店とは違う。」
勝手に、私はそう決めつけている。
② 王鰈(まつかわ)の刺身
10歳も年の差がある兄は、
中学生の頃から父を手伝って魚の行商をしていた。
その行商は、やがてリヤカーから四輪トラックに変わり、
遂には、鮮魚を中心にした食料品店を開くまでになった。
余談だが、そのお陰で私は大学に行き、
教職に就くことができた。
店の最盛期には、従業員が20人以上にもなっていた。
しかし、大型店舗の進出と不況に飲まれた。
兄は、自身の体力の衰えもあったのだろう。
10数年前に、食料品店をたたみ、
家族で切り盛りする魚料理を中心とした飲食店を始めた。
人口減少が著しい町での、店の切り盛りは大変のようだ。
でも、80歳になった今も、
毎日元気に調理場に立ち、腕を振るっている。
あるタウン雑誌が、
魚の目利きのよさと、
お客さんへの人当たりのいいご主人として、兄を紹介した。
その記事を読みながら、ちょっと胸を張り、
1人自慢気になっている私がいた。
我が家から車で30分、
東室蘭駅近くにあるその店には、
時折、夕食を食べに顔を出す。
兄は、その日一番の煮魚と刺身が載った定食を、
用意してくれる。
いつもその味にはずれはない。
ババガレイなど旬の煮魚も美味しい。
しかし、いつも私が感心するのは、
兄が造る刺身である。
日本料理店が出す『お造り』みたいな洒落たものではない。
安価な皿に、大根のつまを盛り、
その上に5切れ程の刺身が2種類並んでいる。
日によって魚は違う。
鮪の中トロ、赤身、イカ、ヒラメ、かんぱち。
それが、いつだって最高に美味しいのだ。
刺身と言えど、その辺の調理人とは年期が違う。
何と言っても、正真正銘、たたき上げの魚屋の腕前だ。
「他と違って当然。」
身内だが、そんな風に兄を評価している。。
ある日、その刺身皿に、鮪と一緒に白身魚があった。
一切れを口にした時だ。
「それ、マツカワだ。美味しいべ。」
カウンター越しに兄の声が届いた。
主に、北海道の太平洋沿岸で採れるカレイだ。
『王鰈』と書いて、マツカワと言う。
そう書き表すだけあって、美味しいと聞いていた。
しかし、高級魚で魚屋の店頭に並ぶことはない。
私は、その時はじめてマツカワの刺身を食べた。
そのマツカワなのに、兄は、奮発したらしい。
7切れもあった。
美味しさは、他の刺身の比ではなかった。
特別だった
1切れ1切れに、心がざわついた。
以来、まだ2度目のマツカワの刺身に巡り会っていない。
どうやら、旬は、夏から秋にかけてだと言う。
今だ。
さて、次はいつ食べられるのだろうか。
いや、もう2度とないのかも・・・、
そ、そんな・・・・。
暑い日 人気のない『恋人海岸』
次の更新予定は、8月17日(土)です。
ここ伊達も同じだ。
だて観光物産館の野菜売場は、
旬の『伊達野菜』であふれている。
とうきび(トウモロコシ)も、
豊富に並びだした。
枝豆も出回った。
そして、この頃は万願寺唐辛子の美味しさに、
私ははまっている。
つい先日の朝だ。
ラジオ体操の帰り道、親しくさせて頂いているご近所さんから、
「トマトとピーマン、持って行かないかい?」
と、声がかかった。
案内されたのは、ご自宅の裏庭だ。
見事な家庭菜園だった。
その一角に、トマトやピーマンがいっぱい実をつけていた。
家内と2人、両手に抱えられない程、頂いてきた
早速、朝の食卓に。
トマトは、生野菜と一緒。
そして、ピーマンはそのまま丸焼きに。
まさに、もぎたて。
美味しくないはずがなかった。
そんな午後、玄関になじみの顔が、
「インゲン豆がいっぱいできたから、食べて。」
これまた、ありがたく頂き、夕食でゴマ和えにする。
どれもこれも「美味しいね」を連呼しながら、
暑さを忘れてほおばる。
夏やせどころか、夏太りを心配する有り様だ。
さて、歳を重ねるにつれ、「食」への関心が増している。
若い頃は、忙しさもあったのか、
お腹を満たせばそれでいいと思っていた向きがある。
しかし、今は違う。
朝食の食パン一切れにも、こだわりがある。
卵1個も同様で、卵なら何でもいい訳じゃなくなった。
だから、うまいと思うものを口にした時の満足感は大きい。
北海道で知った『うまいもん』を、2つ紹介する。
① 松尾ジンギスカン
今年、義父の13回忌を迎える。
その父が、元気だった頃からだ。
お盆の帰省で、実家がある芦別に行くと、
定番コースのように、昼食時に出向くところがあった。
そこは、車で片道30分、
滝川市内にある『松尾ジンギスカン本店』である。
今も、芦別で暮らす母を訪ねた折、
欠かさずにと言うくらいに、車をとばす。
この『松尾ジンギスカン』だが、
次第に有名になっているようで、
東京都内にも支店があると言う。
また、新千歳空港内にもその看板がある。
さて、ジンギスカンについてだが、
その食べ方には2通りある。
よく知られているのは、羊肉を焼いてから、
ジンギスカンのたれをつけて食べるものだ。
もう1つは、長時間たれに漬け込んだ羊肉を
焼いて食べるものだ。
これは、たれにつけたりせずに、そのまま食べる。
『松尾ジンギスカン』はこのタイプである。
店独自の秘伝だれに漬け込んであり、
肉の柔らかさもあるが、その味がいい。
ジンギスカン鍋で一緒に熱を通し、
そのたれが浸み込んだもやしやタマネギが、これまたうまい。
よく蟹を食べる時は、みんな無言になると言う。
それと変わらない。
父が一緒だった時も、
そして今、母と家内、私の3人でも、
食べている間、会話はほどんどない。
肉も野菜もご飯も味噌汁も、
全てがなくなってから、
「美味しかったね。」
と、口をそろえるのが常なのだ。
今年も、お盆が近い。
芦別への墓参を予定している。
また、あのジンギスカンが楽しみになってきた。
つけ加えるが、
「本店の味は、支店とは違う。」
勝手に、私はそう決めつけている。
② 王鰈(まつかわ)の刺身
10歳も年の差がある兄は、
中学生の頃から父を手伝って魚の行商をしていた。
その行商は、やがてリヤカーから四輪トラックに変わり、
遂には、鮮魚を中心にした食料品店を開くまでになった。
余談だが、そのお陰で私は大学に行き、
教職に就くことができた。
店の最盛期には、従業員が20人以上にもなっていた。
しかし、大型店舗の進出と不況に飲まれた。
兄は、自身の体力の衰えもあったのだろう。
10数年前に、食料品店をたたみ、
家族で切り盛りする魚料理を中心とした飲食店を始めた。
人口減少が著しい町での、店の切り盛りは大変のようだ。
でも、80歳になった今も、
毎日元気に調理場に立ち、腕を振るっている。
あるタウン雑誌が、
魚の目利きのよさと、
お客さんへの人当たりのいいご主人として、兄を紹介した。
その記事を読みながら、ちょっと胸を張り、
1人自慢気になっている私がいた。
我が家から車で30分、
東室蘭駅近くにあるその店には、
時折、夕食を食べに顔を出す。
兄は、その日一番の煮魚と刺身が載った定食を、
用意してくれる。
いつもその味にはずれはない。
ババガレイなど旬の煮魚も美味しい。
しかし、いつも私が感心するのは、
兄が造る刺身である。
日本料理店が出す『お造り』みたいな洒落たものではない。
安価な皿に、大根のつまを盛り、
その上に5切れ程の刺身が2種類並んでいる。
日によって魚は違う。
鮪の中トロ、赤身、イカ、ヒラメ、かんぱち。
それが、いつだって最高に美味しいのだ。
刺身と言えど、その辺の調理人とは年期が違う。
何と言っても、正真正銘、たたき上げの魚屋の腕前だ。
「他と違って当然。」
身内だが、そんな風に兄を評価している。。
ある日、その刺身皿に、鮪と一緒に白身魚があった。
一切れを口にした時だ。
「それ、マツカワだ。美味しいべ。」
カウンター越しに兄の声が届いた。
主に、北海道の太平洋沿岸で採れるカレイだ。
『王鰈』と書いて、マツカワと言う。
そう書き表すだけあって、美味しいと聞いていた。
しかし、高級魚で魚屋の店頭に並ぶことはない。
私は、その時はじめてマツカワの刺身を食べた。
そのマツカワなのに、兄は、奮発したらしい。
7切れもあった。
美味しさは、他の刺身の比ではなかった。
特別だった
1切れ1切れに、心がざわついた。
以来、まだ2度目のマツカワの刺身に巡り会っていない。
どうやら、旬は、夏から秋にかけてだと言う。
今だ。
さて、次はいつ食べられるのだろうか。
いや、もう2度とないのかも・・・、
そ、そんな・・・・。
暑い日 人気のない『恋人海岸』
次の更新予定は、8月17日(土)です。