ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

マラソン大会 小話

2020-04-25 16:03:37 | 出会い
 各企業への休業要請が続いている。
その要請に応じてくれた所には、協力金を支払う。
 そんな動きが、各地で展開されている。

 ところが、この協力金の金額について、
都道府県や市町村によって違いが生じている。

 その違いをどう考えるか問われた北海道の、
鈴木知事の答えに、『あっぱれ』を送りたい。

 「本来、休業補償は国が行うことです。
しかし、そうしないのです。
 だから、各地方が苦しい財源を、
やり繰りしながら進めているんです。」
     (不正確な箇所があるかも・・)

 そして、道内の某市長は、同じ協力金の支給についてこう述べた。
「乾いた雑巾を絞りに絞って出しました。」

 行政の首長として、2人に気骨を感じた。
「心強い!」「頼もしい!」。
 小市民の1人として、エールを送りたくなった。

 それに比べ、感染症対策専門家会議が紹介した
『人との接触を8割減らす10のポイント』なのだが・・・。
 さほど話題になっていないが、失望・・・・・。

 「10のポインドができれば8割削減できる!」。
そう期待して、その10に目を向けた。

 ところがだ。
「オンライン帰省」に「飲み会はオンライン」、
その上「待てる買い物は通販で」に「診療は遠隔診療」ときた。
 多くを語る気にもなれない。
的外れもいい加減にしてほしい、

 これが我が国コロナ対策のリーダーの提言なのか。
「情けない!」。
 私には理解不能だ。

 この有り様じゃ、今後も全国で混乱が続くに違いない。
そう覚悟しながら、長期戦に立ち向かおう。

 そう言いつつ、一市民として出来ることは、
2ヶ月前から同じだ。
 じっとしている。それだけだ。
何も変わらない。

 だから、「今回も少しは明るいことを」と・・。
7年前から年に数回、各地のマラソン大会に参加している。
 そこでの小さな出来事・小話を綴る。


  ① 申告は,速めにするの!!

 そのハーフマラソン大会の関門は、
5キロごとに設けられていた。
 そこを35分以内のペースで通過しなければならない。
ここ数年の私の走力では、ギリギリだった。

 特に、スタートから最初の関門、
つまり5キロにある関門まで。
35分で走り着かなければならない。
 これが、なかなかの難関なのだ。

 言うまでもないが、『関門』だ。
その時間までに通らないと、ストップがかかる。
 その後を走ることは許されない。

 ハーフマラソンを5キロで止められては、
悔いるどころではない。
 すごく恥ずかしいし、もったいない。
 
 ところが、私はそこで止められる可能性が十分にあるのだ。
その要因は、スタート時のロスタイムである。

 実は、大会は5000人のランナーがスタートする。
その前に、混乱を避けるため、走力順に並ぶ約束になっている。

 スタートラインには、自己申告した速いタイムの
グループから順に並ぶ。
 だから、私は当然最後尾になる。

 すると、スタートの号砲が鳴ってから、
スタートラインをまたぐまでに、最後尾は約3分間もかかるのだ。
 これがロスタイムだ。

 つまりは、最初の5キロまでを、
私らは、35分ではなく32分間で走らなければならないことになる。
    
 号砲が鳴ると、少しでも速くスタートラインまで行きたい。
前のランナーをかき分けたい心境になる。
 そんな時だ。

 最後尾を誘導していたベテランの大会役員が、
顔見知りランナーとでも話していたのだろう。
 その声が聞こえてきた。

 「正直に申告するから、最後尾なのよ。
もっと速い時間で申告すればいいの。
 そうしたら、もっと前に並べるでしょう。
最初の関門までが楽になるのよ。
 そんな考えの人、前の方にいっぱいいるよ。」

 「そんなのフェアーじゃない。」
そう思いつつ、すごく気が動転していた。


 ② オレ、教えたよ!

 旭川のハーフマラソン大会は、名所『旭橋』を渡る。
丁度、この橋が、中間点付近にあたる。

 スタートから概ね8キロで、
コースは市街地から堤防上の散策路に変わる。
 そこを2キロ程行くと旭橋である。

 その土手道をしばらく走った時だ。
少し前を行くランナーが、
道路脇で私たちを見ていた方に話しかけた。 
 
 「すみません。旭橋まではどの位ですか。」
道路脇の方は、無言で首を傾けた。

 しばらくして、そのランナーは、
また道路脇に訊いた。
 「旭橋までどの位ですか。」
再び無言で、分からないという表情が返ってきた。

 私は、走りながら左腕のランニングウオッチを見た。
そして、そのランナーに近づいた。
 「旭橋ですか。」
彼は、疲れた顔でうなづいた。
 「あと1キロくらいです。
がんばりましよう、」

 苦しさは同じだった。
でも、私の声を聞き、表情を明るくした。
 教えて上げて良かったと思った。
私の足どりにも、少し弾みがついた。

 だが、その次だ。
後ろをついてきた女性ランナーが、
彼に近寄った。
 そして、言った。

 「ずっと前の方、見てください。
緑色したアーチの橋。あれ、旭橋!
 分かります?」
 彼は、戸惑った風だが走りながら、
何度もうなづいていた。

 「余分なことをしたのは、オレなの?
それとも彼女なの?」。
 しばらくは、自問しながら走るはめになった。

 「オレ、教えたよ!」と言い返すべきか?
「いやいや、それは・・・・」。
 しばらく落ち込んでいた。

 ③ 根性が違う!

 1月に、体育館のランニングコースで、
久しぶりに出会った同世代のランナーとのやりとりだ。

 「去年の洞爺湖、俺は10キロだったけど、
フルを走ったの?」
 「はい、一応スタートはしました。」
「そうか。それで?」

 言いたくなかったが、応じないわけには・・。
なので、渋々言った。
 「30キロまでがやっとでした。リタイアです。
後は収容のバスで、戻りました。」

 すると、すかさず彼は楽しげに言った。
「30キロか。バスの中、男ばかりだったろう。」
 私が座った席の回りを思い浮かべてみた。
確かに、男ばかりだったように思えた。

 「言われてみれば、そうだったようです。」
「そうなんだよ。
そこまで行ったら、女は絶対に諦めないんだ。
 後12キロさ。倒れるまで頑張って走るんだ。女は!
そして、最後はゴールするんだ。
 男とは根性が違うんだよ。すごいよ。」

 自信にあふれた彼の言いっぷりもあるが、
私は、何故か納得した。
 そして、「その根性がほしい!」
と、叫びたくなった。 




  春が来た 春が ルンルン

     ※ 次回のブログ更新は5月9日(土)の予定です。
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