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サッカープレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドに所属するGKダビド・デ・ヘアが144円のドーナツを万引きした疑いで捕まったというニュースには驚いた。と同時に遠い昔の記憶がよみがえった。それは“ボビー・ムーアのボゴタ事件”だ。ボビー・ムーアとはイングランドの伝説的な名ディフェンダーで、イングランドがただ一度ワールドカップで優勝した1966年イングランド大会の時のキャプテンでもある。長くイングランド代表のキャプテンを務め、亡くなって18年経った今日も国民から“ザ・キャプテン”と呼ばれて尊敬を集める存在だ。そのボビー・ムーアがワールドカップ連覇を期待されていた1970年のメキシコ・ワールドカップの直前、事件は起こった。南米コロンビアのボゴタに立ち寄ったボビー・ムーアが宝石店で金のブレスレットを万引きしたとして逮捕されたのだ。結局4日後に嫌疑不十分で釈放されるのだが、真相はいまだにわかっていない。この事件がたたったのか、イングランドチームは決勝トーナメントに進んだものの、準々決勝で前回決勝を戦った西ドイツにリベンジされてしまう。この事件の時も裏には政治的陰謀があるのではといわれていたが、今回のダビド・デ・ヘアの事件も誰かが何らかの目的で彼をハメたのかもしれない。