ジョアン姫のハート/フィオリモンド姫の首かざり/アリ・ド・モーガン・作 矢川澄子・訳/岩波少年文庫/1996年初版
ハリーポッターのテーマパークが日本でも近くオーペンするというニュースが流れていました。
ハリーポッターを知ったのは、大分話題になって、テレビで放映されてからだったような気がします。図書館で何か月も待ってようやく第一作目を読んでみて、その面白さに夢中になって、何年かかけて第7作まで、何度もよみかえしました。小説などを何回も読み直すことはほとんどないのでこれだけ読み直したのは本当に珍しいことでした。
映画は映画のよさがありますが、省略されている部分があり、原作のジョークがうまく伝わってこないところが、残念です。
さまざまのエピソードがあるようですが、1995年に完成した原稿が12の出版社に提出されたが、あまりに長編で、出版する会社が現れず、新人による子供向け書籍の出版に取り組んでいたブルームズベリー出版社が出版することとなったのは、受け取った原稿を、編集者が自分で読む前に8歳の子供に手渡して反応を見たからで、1時間後に部屋から出てきた子は、「パパ、これは他のどんなものよりもずっと素敵だ」と話したという。
第3作目まではそれほどのボリュームでないのが幸いしたのかも。
作者のJ・K・ローリングにつながるDNAを感じさせてくれるのが、同じイギリスのメアリ・ド・モーガン(1850-1907)。
三冊の童話集、「針さしの物語」「フィオリモンド姫の首かざり」「風の妖精たち」を残して、若くして亡くなっています。
<ジョアン姫のハート>
妖精からハートを盗まれたジョアン姫は、国一番の美女になるが、悩みがなく、どんなことにも涙をみせず、人を愛することない。
このジョアン姫を愛してしまった隣の国のマイケル王子が、ジョアン姫のハートを取り戻すまでの話。
妖精、魔術師、小人、動く肖像(ハリーポッターにも、肖像がうごいたり、新聞の人物が動く楽しい場面が)、不吉な予言、ゴブリン(ハリーポッターでも重要な役割をしめている)、7年の旅、金色に輝く剣、極彩色の怪物、妖精との知恵比べなど、長いが飽きさせない展開。
7年目が過ぎようとする前に、ジョアン姫が他の男と結婚する直前に、ジョアンのハートがもとにもどり、めでたくジョアンとマイケルが結ばれるという波乱万丈のストーリ。
「ジョアン姫のハート」を読んで、イギリスの女流作家のDNAが、ハリーポッターに引き継がれているのを感じました。