どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

赤鬼エティン

2014年06月21日 | 昔話(ヨーロッパ)

      赤鬼エティン/愛蔵版おはなしのろうそく8/東京子ども図書館/2007年初版
      レッド・エティン/イギリス民話選 ジャックと豆のつる/木下順二・訳 瀬川康男・絵/岩波書店/1967年初版


 何回か聞いたことがあるイギリスの「赤鬼エティン」。

 これまで聞いていて気がつかなかったのですが、今回、あれと首をひねったのは最後の部分。
 「王さまは、姫をすくいだした若者と姫を結婚させ、兄の方には、貴族のむすめをあたえました」とありました。

 聞いていて、ものではあるまいし、“むすめをあたえました”という表現はないだろうということ。

 聞いた話は、東京子ども図書館の「おはなしのろうそく」にあるもので、このテキストはお話を語る人には、欠かせないものですが、ときには首をかしげる表現もあってなやましいところもあります。

 何十年も前に出版された本が、新装版にするとき、その時点で差別的な作品をカットしたという例もあります。
  
 「赤鬼エティン」は、差別的というわけではありませんが、引っかかる表現です。

 ラングの世界童話全集1 あおいろの童話集、東京創元社版(2008年初版)の「赤鬼エティン」では、「王さまは、王女をすくった若者を婿にむかえ、あとのふたりの若者も、貴族の娘と結婚させた」と、まあまあの表現になっています。

 また、木下順二訳では、「レッド・エティン」という題名ですが、ここでも「貴族の娘と結婚させた」とあります。

 それにしても結婚させられる側について何も語られていないので、女のかたはどう受け止めているのでしょうか。