赤鬼エティン/愛蔵版おはなしのろうそく8/東京子ども図書館/2007年初版
レッド・エティン/イギリス民話選 ジャックと豆のつる/木下順二・訳 瀬川康男・絵/岩波書店/1967年初版
何回か聞いたことがあるイギリスの「赤鬼エティン」。
これまで聞いていて気がつかなかったのですが、今回、あれと首をひねったのは最後の部分。
「王さまは、姫をすくいだした若者と姫を結婚させ、兄の方には、貴族のむすめをあたえました」とありました。
聞いていて、ものではあるまいし、“むすめをあたえました”という表現はないだろうということ。
聞いた話は、東京子ども図書館の「おはなしのろうそく」にあるもので、このテキストはお話を語る人には、欠かせないものですが、ときには首をかしげる表現もあってなやましいところもあります。
何十年も前に出版された本が、新装版にするとき、その時点で差別的な作品をカットしたという例もあります。
「赤鬼エティン」は、差別的というわけではありませんが、引っかかる表現です。
ラングの世界童話全集1 あおいろの童話集、東京創元社版(2008年初版)の「赤鬼エティン」では、「王さまは、王女をすくった若者を婿にむかえ、あとのふたりの若者も、貴族の娘と結婚させた」と、まあまあの表現になっています。
また、木下順二訳では、「レッド・エティン」という題名ですが、ここでも「貴族の娘と結婚させた」とあります。
それにしても結婚させられる側について何も語られていないので、女のかたはどう受け止めているのでしょうか。