みどりの小鳥 イタリア民話選/イタロ・カルヴィーノ・作 河島英昭・訳/岩波少年文庫/2013年初版
日本の一休さんや吉四六さんと似た人物が、イタリアの昔話にでてくるジュファー。
トルコのホジャなどがすぐに思い浮かびますが、イタリアの話のなかにも同様の人物が。
とんち話や、笑い話が、一人の人物を通して展開されるのが共通しています。
イタロ・カルヴィーノ作のイタリア民話選の中に、4篇がのっていました。
・ジュファーと石膏の彫像
なまけもので役立たずの息子ジュファーが、おしゃべりの人には、わたすんでないよと母親から念をおされ、布を売りに行きます。
あう人に高いといわれ、何も返事をしない、彫像に布をまきつけて、翌日お金をもらうにいきます。
もちろん、彫像なのでうんとも、すんともいわない。怒ったジュファーが、彫像を粉々にくだくと、その中から金貨のつまったなべが出てくるという話。
・ジュファーと月と泥棒と裁判官
ジュファーが月に向かって、出てこい、出てこいと言っていると、それを聞いた泥棒が、警察がきたと思って、盗んできた肉をおいたまま逃げ出します。
母親が、その肉を売ったのは、何と蠅。
蠅が代金を払ってくれないと裁判官に訴えると、蠅をみたら直ちに一匹殺していいという判決。ちょうど、そのとき裁判官の鼻に蠅がとまります。そこでジュファーが、がつんとたたきつぶすと、裁判官の鼻もたたいてしまう。
気軽に楽しめるのが、この手の話である。日本で紹介されている外国の話は、ごく一部にすぎないが、こんな人物はまだまだいそうだ。