大人と子どものための世界のむかし話16 アラブのむかし話/池田修・康君子・編訳/偕成社/1991年初版
貧乏暮らしの夫婦。
きこりのアリーが森に薪を切りに行き、カシの木の下の枝を切ろうとすると、木がアリーにいいます。
「おまちよ、アリー。どうしてわたしみたいなおいぼれた木をきるんだい?」
アリーのこたえを聞くと、カシは根っこのまわりを右にまわると、根っこと根っこのあいだに、ちいさなひきうすがあるから、それにむかって「まわれまわれ」というと、なにもかもうまくいくだろうといいます。
アリーが家に戻って、ひきうすに「まわれまわれ」というと、たくさんの小麦があふれでます。
それまで食べ物にも事欠く貧乏暮らしでしたが、それからは何の心配がなくなります。
ひきうすが古ぼけて、なんのかざりもないので、女房が金銀の飾りをつけたいといいはり、アリーは金細工師のところに、飾りをつけてくれるようにいいます。
ひきうすの秘密を知った金細工師は、このうすをすり替えてしまいます。
綺麗になったひきうすでしたが、「まわれまわれ」といっても、何も起こりません。
アリーはまた、カシの木のところにでかけ、枝をきろうとしますが、カシは今度はお皿をだしてくれます。
お皿は、望みの料理をだしてくれますが・・・・。
このパターンの話は世界各国にあるというのが実感です。
宝物がすり替えられるのは宿屋というのが多いのですが、金細工師というのは、初めてです。
途中ですり替えられ、家に帰っても何事も起こらないというパターンが多いのですが、この話では夫婦の目の前で、食べものがでてきます。