どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

雨をふらせたチャン・コン・・ベトナム

2016年04月11日 | 昔話(東南アジア)

     大人と子どものための世界のむかし話15 ベトナムのむかし話/冨田健次・編訳/偕成社/1991年初版


 終わり良ければ総て良しと、途中の展開はうろおぼえでも、おわりが印象に残る話は奇妙に記憶にのこっています。

 「雨をふらせたチャン・コン」は、あれっという感じで終わりますが、この終わりかたも印象に残ります。

 一滴の水にもことかく村の窮状をみかねたチャン・コンという年とった男が、苦労して雨の女神のところにでかけていきます。
 やっと女神のところにたどり着きますが、女神は老婆で、悪い病で一日中横になっているばかりで、雨をふらせることができません。
 女神の娘もどこかにいってしまい、チャン・コンは、女神からヒョウタンに水をつめるから、ヒョウタンと枝をもって獅子の背中にのって、水をふりまくように頼まれます。
 チャン・コンは雨をふらせなければならないところに、どんどん水をふりまき、やがて、命を救われた村にも水をふらせようとします。

 自分を救ってくれた村人に恩返しをしようと、どっと雨をふらせると、大雨で、家も人も木もなにも流されてしまい村が消え去ってしまいます。

 昔話は、ハッピーエンドで終わることが多いのですが、この話のおわりはどう受け止めたらいいでしょうか。

 年とった男チャン・コン、老婆の女神と登場人物もユニークな昔話です。

 チャン・コンが女神のところにでかけるとき、罠にかかったサルを助け、自分のいきたいところにつれていってくれる杖を手に入れるところがでてきますが、このサルもなぜか年とったサルです。