どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ねこのき

2016年04月25日 | 絵本(日本)
ねこのき  

         ねこのき/作:長田 弘 絵:大橋 歩/クレヨンハウス/1996年初版

 クレヨン?でえがいた絵が、ぬくもりを感じさせてくれます。
 話もあったかい。

 おれんじいろのねこと花の好きなおばあさん。
 おばあさんは一人暮らし。花の手入れをしながらねこと話すおばあさん。

 いつも夜中に出歩くねこでしたが、ある日、出かけていったまま、帰ってきませんでした。
 次の日、小さな女の子が、しんだねこをだいていました。おれんじいろのねこは、車にはねられたのでした。

 おばあさんはねこをそっと埋めます。

 季節が過ぎて、おばあさんの庭に小さな芽が かおをだします。
 小さな芽はぐんぐん大きくなって、一本の幹になり、枝が広がり、緑の葉をつけて立派な木に育ちます。
 緑の葉の中に、おれんじいろの実がひとつ。

 おれんじいろ実が落ちて、おばあさんがひろいあげると、おれんじいろのこねこにかわります。
 
 最後のフレーズがなんともいえません。
「こころという にわにそだつ いっぽんの ゆめのき。これが おばあさんの ゆめのき です。ねこのき です。」

 おばあさんの人生に、どんなドラマがあったのか想像がふくらみます。

 オレンジではなく「おれんじ」とあります。子どもを意識したものでしょうが、ひらがなのほうが、この話にはあっているようです。