かもとりごんべえ/ゆかいな昔話50選/稲田和子・編/岩波少年文庫/2000年初版
年とると先行きがきになるところ。
貧乏なばさま、早く死んで極楽にいきたいと、毎日、お寺まいり。
寺参りの都度、お賽銭をあげていたが、お金がなくなり、思いついて一文銭の穴に糸をとおして、お参りの都度ジャランジャランと投げて、お参りが終わると糸を手繰り寄せ、お金を持ち帰るようにした。
和尚さんジャランジャランという音を聞いて、ほくほく顔で長いお経をあげていたが、賽銭箱をあけてみても、賽銭箱はからっぽ。
おこった和尚さん、ばさまがきたとき、天井に上って、「ばさま、極楽にいきてえならば、寺の松の木さ登れ」と声をかける。
ばさま阿弥陀さまの声が聞こえたと思って、木に登ると、今度は左の手はなせという声、続いて右の手をはなせという声。そのとおりにすると、ばさま木から池にどボーンと落ちるが、さっと五色に光る船があらわれ、それにのって雲の中に消えてしまう。
それを見ていた和尚さん、あれは極楽浄土の船にちがいねえと、自分も小僧さんに手伝わせて同じことをしてみるが・・・・・。
貧乏なばさまのとき来た五色の船が、和尚さんには来なかったという。
昔話に出てくる和尚さん、話を盛り上げてくれる存在です。阿弥陀様は、貧乏人にやさしいですね。