どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

七つの星 トルストイ

2016年09月09日 | 創作(外国)

    母と子のおやすみまえの小さなお話365/千葉幹夫。編著/ナツメ社/2009年初版


 おやすみまえの小さなお話9月99日の話としてのっている話。

 日照りで何日も雨が降らず、牧場の草や森の木がかれ、のどがかわいたたくさんの人びとが病気にかかりました。

 ある家のおかあさんも重い病気になり、高い熱にうながされながら「たった一口でいいから、すきおった冷たい水が飲みたい・・・」といったのを聞いた女の子が、からのひしゃくをもって水をさがすにでかけます。

 どんなにさがしても水は一滴もみつかりません。つかれきった女の子は地面にたおれてしまいます。
 ふときがつくともう夜。かたわらのひしゃくをみると、きれいな水が入っています。

 大喜びで女の子が帰る途中、やせこけた一匹の犬がいました。犬が水をほしがっているようすをみた女の子が犬に水を飲ませてやると、木のひしゃくは銀にかわります。
 家に帰った女の子は、さっそくおかあさんに水を飲ませてあげると、おかあさんは「あるきまわってさぞやのどがかわいたでしょう。あとは、お前がお飲み」。

 女の子が「いいえ、わたしはいらないわ。おかあさんが全部飲んで元気になってちょうだい」というと、ひしゃくは金にかわります。

 女の子が、おじいさんに金のひしゃくをさしだすと、ひしゃくから七つのダイヤモンドが飛び出して、キラキラひかる七つの星になります。

 それから金のひしゃくの水は飲んでも飲んでもあふれるくらいわいてきます。

 女の子は相当のどがかわいていたはずなのに、まず相手のことを考えているやさしいこころの持ち主です。

 このお話、NHKの学校向け番組の中で、日色ともえさんが語っています。

 女子はいったん水を飲もうとするのですが、お母さんのことをおもって我慢するところがあります。

 また犬に水をあたえる場面では、犬は水を飲もうとしません。犬のあとをついていくと、子犬たちがたおれ、くるしそうにしています。女の子はひしゃくの水を手ですくって子犬たちにあげ、さらにおや犬にもあげました。すると犬のおや子は、水をのんで、生きかえったように元気になります。

 ナツメ社版では、子犬がでてきませんが、ここは子犬がでてきたほうが、話の深みが増す感じがします。

 それほど長くはなく、語るにも適しているようです。


ダイジェスト版は?

2016年09月09日 | いろいろ

   <母と子のおやすみまえの小さなお話365/千葉幹夫。編著/ナツメ社/2009年初版>


 365とあるのは一日一話としたもの。

 日本だけではなく世界のむかし話などが1ページにおさめられています。そのため話が大分短くなっていますが、骨格はわかることができるように編集されています。
 短くといっても、イソップのものは、もともと短いので結果的にはふくらんでいます。

 昔話といっても、さまざまな人が再話しており、テキストを選択するとき、どれをえらぶのかむずかしい。

 ダイジェスト版は入り口としては便利ですが、そこからもっと本格的なものにふれてほしいところです。

 テレビやネットにも動画にあり、こちらも入りやすのですが、同じようにそこだけでとどまらずにいれば、こちらも有用なのかもしれません。

 動画は自分の想像力を働かせなくても楽しめるのですが、やはり一方的で、豊かな感性を育むためには、素話にふれてほしいところです。