世界むかし話 アフリカ/掛川恭子・訳/ほるぷ出版/1989年
タイトル通り、ヘビから服をかりて、パーテイに出かけ、夫とのよりを取り戻す話です。
なぜかというと、夫が二人目の妻をむかえ、この妻がいじわるのかぎりをつくし、一番目の妻をおいだしてやろうとしたことが原因でした。
一番目の妻は見た目もよく働き者。二番目の妻は、なみはずれて美しい娘でしたが、ずるくて怠け者。
二番目の妻は、夫とやれパーテイだダンスだと出歩いているばかり。おいしい食べ物、きれいな服、宝石、そのほか手に入るものは、なにもかも二番目の妻がもっていってしまいます。
おる日大きなパーテイがあるのに、着ていく服がなかった一番目の妻が、人気のない森の中でであったのは、きらきらひかる小さな目で見つめるヘビでした。わけを話し、ヘビについていくと岩と岩のあいだにある穴の中に、虹の七色を全部集めたような、さまざまな色合いの、きらきらひかる布がありました。
貸すだけで、あとでかえしてくれという条件で、パーテイにでかけた一番目の妻は、いままでだれひとりとしてみたことのないような服を着て、夫とよりをもどします。
ところが、おこった二番目の妻が、美しいドレスを、ずたずたに切り刻んでしまいます。
ヘビに服をかえさないと、どんな仕返しをされるかわからない、村全体がしかえしをうけるかもしれないと思った一番目の妻は、殺されることも覚悟して、ヘビのところにいきます。
でも、このヘビ、なかなかものわりのいいヘビのようでしたよ。
昔話では、主人公の援助者が、おばあさん、おじいさんというのが多いのですが、ここではヘビです。
人々はヘビをたいへんおそれていましたが、ヘビが人間をひどい目にあわせたという証拠は何一つないというところから、話がはじまります。
主人公が、パーテイや舞踏会にでると、まわりの人が誰も知らないのが通例ですが、この話でははじめからだれかというのがわかります。そして、パーテイの場で、二番目の妻の態度に、みんなが一番目の妻を擁護するというのも、これまでの昔話と違います。
そして、ヘビがいかに誤解されているかを示したかったのかも知れません。