ばけずきん/川村 たかし・文 梶山 俊夫‣画/教育画劇/2003年
きつねが悪さをすると、おしまいには、どこか、きつねにとっては悲しい結末ですが、川村さんのは一味ちがいました。
だんごやで、だんごになりすまして、おきゃくを しこたまおどろかしたり、重箱になって、ひろった子どもをびっくりさせたのはいいが、しっぽがみえて、まだまだ修行が足りない黒ぎつねが、”ばけてぬぐい”をかぶって、稽古中。
ひとりのお坊さんが、きつねをみつけ、ばけてぬぐいは、役に立たなくなったからと自分の頭巾ととりかえっこ。
お坊さんからもらった頭巾をかぶって 町にでた黒ぎつねでしたが、姿は丸見え。でも町の人はお坊さんの頭巾をかぶっているので、えらい人かもと、手をあわせておがみます。
いい気分のきつねが、ふと水たまりをのぞくと、自分の姿が、うつっています。
ここまでくると、きつねがおぼうさんに仕返しするかと思うと、お坊さんが頭巾がなくて、いまごろ、寒くないかなと、頭巾を、かえしにいきます。
お坊さんもあたたかそうなずきんをかぶって、落ち葉掃除です。
ずいぶんこころ優しいちいさな黒ぎつねでした。