どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ばけずきん

2019年05月13日 | 絵本(昔話・日本)


         ばけずきん/川村 たかし・文 梶山 俊夫‣画/教育画劇/2003年


 きつねが悪さをすると、おしまいには、どこか、きつねにとっては悲しい結末ですが、川村さんのは一味ちがいました。

 だんごやで、だんごになりすまして、おきゃくを しこたまおどろかしたり、重箱になって、ひろった子どもをびっくりさせたのはいいが、しっぽがみえて、まだまだ修行が足りない黒ぎつねが、”ばけてぬぐい”をかぶって、稽古中。

 ひとりのお坊さんが、きつねをみつけ、ばけてぬぐいは、役に立たなくなったからと自分の頭巾ととりかえっこ。

 お坊さんからもらった頭巾をかぶって 町にでた黒ぎつねでしたが、姿は丸見え。でも町の人はお坊さんの頭巾をかぶっているので、えらい人かもと、手をあわせておがみます。

 いい気分のきつねが、ふと水たまりをのぞくと、自分の姿が、うつっています。

 ここまでくると、きつねがおぼうさんに仕返しするかと思うと、お坊さんが頭巾がなくて、いまごろ、寒くないかなと、頭巾を、かえしにいきます。

 お坊さんもあたたかそうなずきんをかぶって、落ち葉掃除です。

 ずいぶんこころ優しいちいさな黒ぎつねでした。