まゆとおおきなケーキ/富安陽子・文 降矢なな・絵/福音館書店/2009年初出2014年
ぽかぽかとあたたかな春の日、やまんばかあさんがお客さまを呼んで春のパーティを開くことにしました。
やまんばかあさんは、やまんば汁と山菜ごはん、まゆは はるのケーキを焼くことにしました。
まゆちゃんの十倍はあるほどの大きな木鉢に特製の材料を入れて、ながいながいしゃもじで、ぐるぐる ぐるぐる かきまぜます。
あとは焼くだけ。火などつかいません。お日さまの光です。
ところが、オタマジャクシのかたちの オタマぐもが、お日さまをさえぎっています。
これはたいへんと、力持ちのまゆちゃんは、木鉢をもって、がけを かけくだりました。
でもこんどは、きょうりゅうぐもが じゃまをしています。
川をぴょーんと ひとっとびして となりやまのふもとまで。ここでも、ほそながい だいじゃの形をした ニョロリンぐもが。
となりのやまの頂上までかけのぼると、ようやく くもから のがれ お日さまが木鉢をあたためています。
やがてケーキは だんだん ふっくらと どんどん こんがりふくらんで、でっかいでっかい 世界一大きなケーキが できあがりました。
お客さまは、鬼、天狗、クマ、タヌキ、サル、ネズミ、ヘビ、カタツムリ、コウモリ、ウサギ、カッパ、イノシシ、キツツキなど。探す楽しみもあります。
やまんばというと、おっかないおばあさんのイメージですが、わかいお母さんです。大奮闘してつくる やまんば汁の登場がすくないのが残念。
きつねが、雲からにげる まゆに いつもついているのですが、最後は、からっぽになった木鉢に 寝転んでいます。疲れたのと お腹いっぱいだったのかな。裏表紙は まゆが 木鉢にねていて、やまんばかあさんが、やさしく毛布をかけてあげています。
まゆちゃん お疲れ様。いい夢を!