しおふきうす/香山美子・文 太田大八・画/教育画劇/1998年
海の水はなぜしょっぱいか?
日本だけでなく外国にも同じような昔話があります。
大晦日の日、食べるものもなく、兄のところにお米をかりに行った弟ですが、兄にすげなく断られてかえる途中、ひげのおじいさんから、麦まんじゅうをもらいます。
「峠の お堂の後ろの穴に こびとたちが すんでいる。こびとたちは まんじゅうをみると 欲しがるが、石臼となら かえてもいいと いうんじゃ」というアドバイスをもらった弟。
こびとたちが 一本の萱を苦労して運んでいるのを見た弟が助けようとすると、こびとは 麦まんじゅうを みつけ「まんじゅう くれろ まんじゅう くれろ」というので、石臼と とりかえます。
右に回すとほしいものがでて 左にまわせば でなくなるという石臼。
米や 塩鮭でお正月をむかえた弟は、さらに 御殿のような家、蔵、馬をだし、百のお膳をだして、村中の人に振る舞います。
弟がお客に配るお菓子を納戸でだすところを覗き見た兄は、弟たちがぐっすりねている間に、石臼を 盗んでいきます。
兄が舟で甘い菓子を食い、口直しにちょっぴり塩をだそうとすると、石臼の とめかたを知らなかったので、舟ごと海に沈み、石臼は いまでも塩をだしつづけて・・・。
兄弟が協力する方が 気持ちが良いという感想は、もっとも。
こびとたちが、麦まんじゅうを 石臼で出せばいいのにという子どものツッコミも 鋭い。
困っていると、謎のおじいさんなりお婆さんが、助けてくれたりアドバイスをくれるというのも昔話の”きまり”なのですが、これへのツッコミは?
わらぐつ、石臼もほとんど見ることができなくなりました。絵本の細かいところを見て、話しあってみるのも楽しみの一つでしょうか。