どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ムクドリとブドウの木・・ブルガリア

2020年06月09日 | 昔話(ヨーロッパ)

          吸血鬼の花よめ/八百板洋子:編・訳/福音館文庫/2005年

 

お百姓さんは、ブドウ畑に行く途中、いつもムクドリに声をかけます。

「さあ、ムクドリ、いっしょにブドウ畑にいって、古い枝を切ろう」

「だめだめ、いま、巣を作っているとこなんだもの」

「さあ、ムクドリ、いっしょにブドウ畑にいって、土をおこそう」

「そんなことできないわ。いま、たまごをあたためているところなんだもの」

「いっしょに、ブドウ畑に行こう。草を刈って、ブドウの手いれをするんだよ」

「いま、子どもたちに、えさをやっているところよ」

「おうい、ムクドリ、きょうはどうだね。いっしょにブドウ畑にいって、あとかたずけをてつだっておくれ」

「だめだめ、いま、いそがしいのよ。子どもたちに飛び方を教えているの」

「どうだね、いっしょにブドウ畑に行かないか。きょうは、ブドウを摘みに行くんだが‥」

「いま、子どもたちを呼んでくるわ」

 お百姓さんのよびかけに、いつも いそがしいとことわっていたムクドリ。豊かに実ったブドウ畑で、ムクドリの親子は、おなかいっぱい、あまいブドウをごちそうになりました。

 お百姓さんは、ムクドリの忙しさもわかっていました。手伝わなかったからといって独り占めはしません。


この記事についてブログを書く
« 華やかな三つのねがい | トップ | 月見草の花嫁・・佐賀 »
最新の画像もっと見る

昔話(ヨーロッパ)」カテゴリの最新記事