月見草の花嫁/飯野 和好・絵と文/BL出版/2014年
たまたま山形版の「月見草」を聞く機会がありました。これとは趣がことなりますが、なんだかワクワクするタイトル。
誰も見ていない夜にさくという月見草。
ある夏の夜、ひっそりと淡く咲いた白い花。
峠の方からきこえてきた馬子唄に魅かれた白い花は、たった一人で暮らす馬子の清吉のところに月夜(さよ)となのって一夜の宿をこいます。
そのまま清吉のところで暮らし始めた月夜。二人はやがて夫婦になって幸せな生活をはじめます。
清吉は毎夜、馬の世話をしながら馬子歌を歌います。
ところが一年が過ぎたある日、はげしい雷雨におそわれた清吉は小屋に逃げ込み、雷雨がやむとうまそうな草葉をみつけます。
清吉は、そこにひっそりと咲く一本の月見草を見つけ、月夜が喜ぶと思って、鎌をあてます・・・。
(おもわずダメダメと叫びたくなるところです)
真黒な闇に浮かぶ月にずっといられるように願いをかけていた月夜でしたが・・・。
悲恋ですが、月見草のイメージと重なって、おもわずグッときます。
馬子唄がうしろにのっているのですが、この唄を聞いた月夜の心情が理解できるようでした。
ホーイホイ だれが待つやら 宵の月 ホーイホイ
きみが待ってる もどり道 ホイホイ
咲いた想いは 花になる ホーイホイ
月といっしょに いつまでもホーイホイ
抱いて想いは花になる! ホーイホイ
月見草は、昼間はピンクの蕾、夜になると白い花になります。そして花言葉は「無言の愛情」、「ほのかな恋」、「うつろな恋」とありました。
この絵本は佐賀県のものがベースですが、新潟県の再話「月見草の嫁」(日本の昔話3/ももたろう/おざわとしお・再話/福音館書店/1995年)もありました。
可憐な月見草からイメージされた昔話です。