魔女のおくりもの かめのシェルオーバーのお話2/ルース・エインワース・作 河本祥子・訳/岩波少年文庫/1997年初版
住み慣れたところを離れて、新しい友だちができないジェームズ。
公園では楽しそうに遊ぶ子どもたちがいますが、どうしても、その輪の中に入っていけません。
そんなジェームズが、公園の木の幹に小さな穴をみつけます。人工的に作ったようでした。その穴の中には何か書いた紙が。
「ピーター、うら通り 十二番地 A ぼくには、百万人の友だちがいます」
うら通りは、ジェームズがまえにすんでいたとなりの通りでした。
そこにいってみると一人の男の子とあいます。手紙の主のピーターでした。
ピーターのまわりも、友だちがみんないなくなって、新しいアパートに引っ越しをするところでした。
ピーターもジェームズのアパートで暮らすことになり、同じ学校にかよいはじめます。
そして、学校がおわると公園で遊び、週末も一緒にあそぶようになります。
どんな事情で引っ越しをすることになったのかは、書かれていませんが、再開発がすすみ、どんどん変わっていく街の風景と重なります。
それまで交流があった近所の人がどんどんいなくなり、遊び友だちもいなくなって、新しい環境になれない二人。
「ぼくは百万人の友だちがいます。」というピーターの手紙は、友だちがいなくなって、百万人の友だちがほしいという願望の裏返しです。
子どもたちの心情がつたわってきて、”わかる わかる”とうなずきました。
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