どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

木の穴の手紙

2018年05月24日 | エインワース

     魔女のおくりもの かめのシェルオーバーのお話2/ルース・エインワース・作 河本祥子・訳/岩波少年文庫/1997年初版


 住み慣れたところを離れて、新しい友だちができないジェームズ。

 公園では楽しそうに遊ぶ子どもたちがいますが、どうしても、その輪の中に入っていけません。

 そんなジェームズが、公園の木の幹に小さな穴をみつけます。人工的に作ったようでした。その穴の中には何か書いた紙が。

 「ピーター、うら通り 十二番地 A ぼくには、百万人の友だちがいます」

 うら通りは、ジェームズがまえにすんでいたとなりの通りでした。

 そこにいってみると一人の男の子とあいます。手紙の主のピーターでした。

 ピーターのまわりも、友だちがみんないなくなって、新しいアパートに引っ越しをするところでした。

 ピーターもジェームズのアパートで暮らすことになり、同じ学校にかよいはじめます。

 そして、学校がおわると公園で遊び、週末も一緒にあそぶようになります。

 どんな事情で引っ越しをすることになったのかは、書かれていませんが、再開発がすすみ、どんどん変わっていく街の風景と重なります。
 それまで交流があった近所の人がどんどんいなくなり、遊び友だちもいなくなって、新しい環境になれない二人。

 「ぼくは百万人の友だちがいます。」というピーターの手紙は、友だちがいなくなって、百万人の友だちがほしいという願望の裏返しです。

 子どもたちの心情がつたわってきて、”わかる わかる”とうなずきました。


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