カモメ/魔女のおくりもの かめのシェルオーバーのお話2/ルース・エインワース・作 河本祥子・訳/岩波少年文庫/1997年初版
家を飛び出して海賊船に乗り込んだアンドリュー少年。甲板を洗ったり船長のベッドをなおしたり、ゴム長ぐつをみがいたり、ときには三目並べであそんだり。
しゃれこうべと十文字の骨の海賊旗、金の首飾りと黒い長ぐつの堂々たる海賊ですが、どうにもさえない面々。ボロボロの地図をたよりに宝さがしをしていましたが、いつも何か間違いがあって宝物はみつかりません。
他の船に乗り込んでも、戦利品はくつ一足、船長室のクッションなどだけ。
ある日、難破船にであって、なにかあるというアンドリュー少年の意見を受け入れて、難破船にのりこみますが、なにもみつかりません。でもアンドリュー少年は宝物よりもっといいネコをみつけます。
よくねずみをとるネコでしたが、アンドリュー少年は、ネコの首輪にぶらさがっている銀色のメダルに三角形のしるしをみつけます。
少年がマストにのぼって、あたりをみまわすとメダルにかかれた三角形に似た島をみつけます。なんとか船長を説得して、島に乗り込み地面を掘ってみると、重い鉄の箱がみつかります。
箱をこじあけてみると金貨がざっくざっく。
カモメというには、少年がネコにつけた名前。カモメなので鳥の話かと思うと宝物のお話。
愉快なのは、金貨が見つかったときの海賊たち。
「おれたち全員、引退できるぞ!」と喜んだのは船長。
「みんな陸にあがって、自分の家を持てるんだ!」
「新しいシチューなべ、ひとそろい買って、どっかの海岸でホテルができるぞ。」とコック。
海賊もすきで海賊になったわけでなく、いつかは足を洗いたいと考えていたんですね。
アンドリュー少年は、分け前の金貨で皮のかばんをかい、飛行機を借り切り、カモメと家にかえります。海賊がでてくるので、少し古い時代かとおもっていると、飛行機がでてくるあたりは現代です。
なんともコミカルで楽しい物語です。宝物を探すのも夢があります。
ケバケバ号という海賊船の大砲は、さびついていて役にたたなかったというのも笑わせます。
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